それまで確かな意味を持って自分の中に存在していたものが、ある日突然ガラクタに変わってしまうことがある。
1度そうなってしまうともう、2度と意味を取り戻すことはできない。
毎週水曜と土曜にやってくる燃えるゴミの日。
45リットルの袋いっぱいに詰められたそれらを、わたしは何の躊躇いもなく捨てる。
わたしは時々、自分自身を恐ろしく思う。
つい昨日まで、ベッドの上で目を瞑って、意識が支離滅裂な夢に溶けてしまうその瞬間まで、手を離さないように、こぼれ落ちて行かないように大事に大事にしていたものを、いとも簡単に見放すことができる自分をだ。
積み木を崩すように。
ドミノを倒すように。
作っては壊し。
積み上げては蹴落とし。
貯めては流し。
繋ぎ止めては手放す。
そうやって、かつてわたしの一部だったものたちを、蝋燭の火を吹き消すほどの躊躇いや労力も要さずに、わたしはわたしの生活から跡形もなく消し去ってしまうことができる。
わたしは自分自身を恐ろしく思う。
恐ろしいと思っていることすらも、朝日と共に忘れてしまう自分をだ。