霞始靆(かすみはじめてたなびく)

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先への選択肢が広がるということは、遠い向こうへの見えない不安が広がるということだ。まるで朝霞のようにぼやけた、淡い焦りが滲んでいる。どうも曖昧で危機感も沸かないが、時にふと哀しくなる。『このままでいいのか』と自分に問いたくなる。

自分への叱責から抜け出したい、周りの環境を変えたい、理由は色々あるだろうが、どうしたって留まる方が豊かだろう。解っている。自分の為にお金を使い時間を使い、物も人脈も経験値もある程度は増える。"このまま"が一番難しく、安寧だ。

それでも、自分の為なんてものは全部捨てて、貴方の為に生きてみたいと思う自分がいる。人混みの中で貴方の姿を探す私で在りたいと。

たった一瞬への希望に、私は