草木萌動(そうもくめばえいずる)

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春掠る草木の空気を詰る。春なんて嫌いだ。別れも出逢いもどうでもいいのだ。

東から風が吹く。こんな柔らかくてまるで優しいみたいな、本当は残酷な季節のくせに。

理不尽も無情も倫理観も無駄になる。そんな瞬間が増えて気付いたら大人になっている。本意でなくとも笑う日々に落ち着く自分を見出してしまう。

ただ、一つの純信は、貴方の為に息をしている。

ということだ。