リンクする喜び

private_eyes
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インターネットの楽しさとはリンクすることである。かつてはリンクした向こう側に未知の世界が待っているという実感があった。それは必ずしも幻想だったとは言い切れないはずだ。

実例を一つ。Twitterである著名人が「今これを読んでる」といってpdfファイルを添付してツイートしていたとき、リンクのURLからその記事をダウンロードしてそれを読んでいる自分に思わずハッとさせられた。バカみたいな話だが、物理的に遠くにいる人とワンクリックで情報をシェアしたという事実に驚いてしまったのだった。

私たちが現在リンクをクリックすることに躊躇いを覚えるようになってしまったのは、おそらく有料記事と大量の広告のせいである。

ハイパーテキストリンクから始まったインターネットが企業の広告に息の根を止められたことは、民主化の次にくる市場の寡占を明示しているようでもある。市場はリンクを「ハック」したのだ。リンクされた向こう側の世界は今やすっかり資本の毒に犯されている。

そういったわけで、私たちはもはやインターネットにも民主化のロマンを抱きにくくなっている。しかし一方で私たちは基本的に新しい何かとの出会いに触発されることを願ってやまない。それはそこに希望があるからだ。

今さまざまな形でweb1.0を見直す動きがある。ゼロ年代のアーキテクチャ論もそれに伴って参照されている向きもあるようだ。そうした動きに意義があるとしたら、リンクされた世界の向こう側にもう一度夢を見ることができるような可能性を探ること、に集約されているのではないだろうか。

@private_eyes
インターネットの想い出に捧ぐ