The Return of Emerson, Lake & Palmer 2023 ライブレポート

「Emerson, Lake & Palmerの来日」

わたくしがこの文字を見た時の第一声は「嘘やん」でしたわ。なぜならば、EL&Pのメンバーのうち2人が既に亡くなっており、来日なんてありえないと思っておりましたので「きっと過去のニュースが勘違いされて掘り起こされたに違いない」と疑っていました。これが長年ネットに身を潜めているものの嗅覚ですわ。昔の出来事をあたかも最近あったように見せかけてバズろうなんてそうは問屋が卸さnゲゲーッ!2023年の話じゃないですの!!!時空でも歪みました!?もしもし、ポリスメン?いえ普通のポリスメンではなくてタイムパトロールの方ですわ。わ...わたくしおかしくなってしまいましたの!?いくらプログレ黄金期から50年経った記念すべき年だからって、やって良いことと悪いことがありますでしょう!?これは良いこと!!!

と、あまりにも衝撃的な出来事に、不覚にも上記のような怪文書を友人各位に垂れ流し、たまたまEL&Pを聴いており知っているという友人をとっ捕まえ来日コンサートのチケットを両日抑えるに至りましたわ。持つべきものはプログレと友ですわ。そこからはもうとんとん拍子の変拍子に予定を整え、わたくしの全ての予定をEL&PとCynicのライブ中心に調整しましたわ。予定外なのはお財布事情くらいかしら。致し方なし必要経費ですわ。

EL&Pとは

わたくしをプログレという深い沼に落とした元凶ですわ。もはやアンリマユ。この世全ての悪...。いえ、悪の教典...。

1970年代にNiceというバンドで活躍していたキース・エマーソンとKing Crimsonで活躍していたグレッグ・レイクが意気投合し、===で活躍していたカール・パーマーを加えて結成されたスーパーグループですわ。噂では、ジミ・ヘンドリックスを呼ぶ予定もあったそうですが流れてしまった経緯もあってか、ギターがいないキーボード・ベース・ドラムというキーボードを中心にしたトリオグループとして活動してくことになりますわ。

当時、比較的新しい楽器でもあったシンセサイザーを導入。さらに、クラシック音楽のフレーズを引用したりジャズドラムのフレーズをアレンジしたりして、クラシック・ジャズ・ロックなど様々なジャンルとの融合を図り、その独自性を持って活動していきますわ。

特に架空の生物兵器をモチーフに描かれた大曲「タルカス」の完成度は目を見張るものがあり、わたくしを沼に突き落とした元凶でもありますわ。通称アルマジロ戦車。かわいいので、カプセルトイとかにしてほしいのですわ。

しかし、数枚アルバムを出しライブツアーも何本も行った後、燃え尽きてしまったのか、バンドは休暇を取り、そのまま解散してしまいますわ。

その後は、それぞれソロとして活躍したり、ASIAという別のバンドに参加したりしつつも、たまに再結成からの解散を繰り返しておりました。

2016年3月11日にキース・エマーソンが失意の自殺。同年の12月にグレッグレイクが心臓により他界。多くのプログレファンが憤り、嘆き悲しみましたわ。

しかし...EL&Pはまだ死んでいませんでした。

残されたカール・パーマーが亡くなった仲間たちを映像で甦らせ、ライブを行うと発表。

その日本公演がついにここに行われましたわ。

この件に関しては、結構悩ましい問題がありまして…。ファンの方の中には「ただの映像ならDVDでいいじゃん」であったり「ソロだと客引きが難しいからEL&Pの名を使っているだけだろう」という厳しい声もあったそうですが、うるせぇ〜〜〜〜〜〜!!!!!ごちゃごちゃ言う暇があるんだったら自分の目で見てから言えボ(以下お嬢さまスラング)

推しは推せるうちに推せ!はい、復唱!!聴こえるまでやりますわよ。はい!!推しは推せるうちに推せ!2階席!見えてないと思ったら大間違いですわよ!!

ということで、12/12と12/13の六本木EXホールですわ!

なお記事内の写真は撮影可能なタイミングで撮影させていただいたものを使用しております。ルールを守って撮影しておりますので、ご安心くださいまし。

ライブの感想

六本木ヒルズのすぐそばということもあり、場違い感が溢れつつそそくさと入場。すかさず物販へと移動しまして、パンフレットとTシャツを2枚購入。なんと物販にはパーマー様のサイン入りLPの販売もありましたが、すでに売り切れでした...のでお写真だけパシャリ。

さて、場所は1階席の後方前寄りの一番左手でしたわ。チケット一般販売日の販売時間ジャストくらいにチケットを購入したのですが、この場所ということは、やはりvip席と店舗先行予約の方が多かったということでしょうか。やはり辺境住みお嬢様にとっては「そのシステムずるいですわ〜!!」と思いますわ...。

始まるまでの間はモニターに映し出されたカールパーマー様の参加したアルバムを眺めながら「あれは聴いた...あれは聴いてない...あれは...聴いたような気が...」とアルバムでビンゴゲームができましたわ。こうしてみるとパーマー様のソロなどちゃんと聴いてきていなかったと反省。改めてパーマー様強化月間でも作りましょうと思っている間に映像が切り替わり、公演がスタート!

OPとして映像が流れ、爆発のシーンとともにパーマー様が勢いよく袖から登場!!万雷の拍手ですわ!!

そして、映像に映し出されたグレッグ・レイク様が「悪の教典 #9」を歌い出す!まさにEL&Pの帰還にふさわしい華やかな幕開け!そして、最初からパワフルなドラムを叩きまくるカール・パーマー様!本当に御歳73歳の御仁ですの!?そのドラムの音圧に会場が揺れましたわ!(多分)

映像で高らかに歌うグレッグ・レイク様とキーボードを踊るように弾くキース・エマーソン様。そんな2人と息を合わせるようにドラムを叩くカール・パーマー様!3人でEL&P!!思わず涙がグッと込み上げてきますわ。

今回バンドをサポートするサイモン様とポール様も加わり、続いて「Hoedown」を演奏。ポール様のギターがまるでハモンドオルガンのようなエフェクターがかかっており、ギターなのにEL&Pサウンドに聴こえてくるという面白い体験。さらに、曲の特徴ともいえる高らかな音を楽しそうにスライドしながら弾くポール様。

3曲目は「Knife-Edge」!4曲目の「Take A Pebble」サイモン様がスティックに持ち替え、なんと一人でボーカルとサウンドを全て再現!カール様も叩きつつでしたが、あくまでサイモン様のスティックソロを盛り上げるように添えるように叩いておりました。素晴らしいですわ!!ていうか、サイモン様これでコンピレーションアルバム1枚作ってほしいですわ!!

5曲目の「Benny The Bouncer」に入る前にパーマー様が「この曲は僕は好きなんだけど...レイクが歌いたくない!って言っててね...」とトーク。レイク様が歌いたくないということは誰が歌うんでしょう...?と思ったら、なんとカール様の生歌ですわ!!ドラムを叩く手を休むことも息が上がることもなく、歌い切るカール様!おいくつですの!?

5曲目が終わるとカール様がマイクの前に立ち、またトーク。(というかほぼ全て曲の前にカール様がトークをしました)

そのままスーッと舞台袖へ下がっていったかと思うと、映像に映し出されるキース・エマーソン様。「Creole Dance」のソロですわ!

時には繊細に、時には非常にアグレッシブに、いややっぱりピアノごと空飛んで空中回転はアグレッシブのレベルを超えていますわよ!加減なさい!!

そんなキース様の映像とソロが終わると、またメンバーが戻ってくる。その時にカール様が映像に映し出されたキース様に向かって敬意を表するようにサムズアップ。本当にカール様がキース様とレイク様にことを愛していたのだと思える感動的なシーンでしたわ。もう今、文章を認めながらちょっと泣きそうですもの。ていうか泣いた。(嗚咽チャンネル使わせて!!!)

さて、3人戻ってきたかと思うと、何やら神妙な雰囲気に。あらら、さっきまでの楽しそうな雰囲気は...と思った矢先!映像には見覚えのある地平線が映し出され、その彼方から遂に...遂に「Tarkus」がやってきましたわ!!

わたくしを沼に落とした張本人...!それの生ですもの!もう立ち上がらん勢い!!天にも登らん気持ちとはこのことですわ。KIng Crimsonの21stを聴いた時も感動しましたが、Tarkusに限ってはそれを上回る程の感動...わたくしの人生のハイライトはここですわ...。

少しだけテンポが遅くなっていたのですが、おそらくはギターでキース様のキーボードを表現する以上、仕方がないかなと思いますわ。ギターを担当するポール様はキース様の音1つ1つを大事に弾いている印象を受けましたわ。そして、どうしても拾いきれない音や低音部分をしっかりサポートするサイモン様。そんな若手たちをグイグイ引っ張っていこうとするカール様。新しい3人のただ、過去の真似をするのではない、新しいスタイル!タルカスは未だにプログレッシブを続けているのですわ!!

20分の大曲を叩き終えたカール様もさすがに疲れたのか画面袖へ。残ったポール様によるソロタイムへ。

ポール様は、本当にDjent系のようなタッピングを駆使した音数の多さとアンビエントの美しいフレーズを弾きこなす。あたかもギターの指板を鍵盤に例えているようで、このバンドに選ばれた理由がよくわかりますわ。

そして、しっとりとポール様のソロを終えると「Carmina Burana」の演奏へ。そして満を辞してカール様のドラムソロ!

とにかくもう、叩く!叩く!!叩く!!!右へ左へ縦横無尽にスティックを回しに回し、なんならスティックも叩く!そう、少しずつ、あれ?そんなところも叩く?と思うところまで、ドラム全部を叩いてパフォーマンス!そして、ちょいちょい顔で「拍手するところだぞ?」とアピールしてくるカール様。他にも他にも、シンバルを上下から叩いたり、スティックだけでパフォーマンスしたり...。極め付けは、後方に吊るされた2つの銅鑼を勢いよく連打し、銅鑼用のスティックを頭上高くに放り投げてのフィニッシュ!!終始、笑顔でのパフォーマンスに会場も大盛り上がり!!

しっかりソロを叩き終えてマイクの前に立ち、一言「疲れた」と一笑いをとった後、今度はグレッグ・レイクさまの話へ。そのままコンガセットの前に座り、「From The Beginning」でグレッグ様の弾き語りとコラボ!

これまたグレッグ様の映像と共に構成されており、終わるとグレッグ様に対してカール様が両手でサムズアップ。その姿にまたわたくしの涙腺が...。

そこからは、映像で一緒に「Paper Blood」と「Lucky Man」に!

今回、90年代の曲で唯一演奏したのが「Paper Blood」でしたが、いいですわ。70年代の名曲ばかりに目が行ってしまいますが、再結成後の曲もいい曲がいっぱいありますのよね。なんならわたくし、皆様が快く言わない「In the Hot Seat」も結構好きですわよ...。

そして、「Lucky Man」へ。グレッグ様が「Sing!!」と言っていたので、歌おうかと思ったのですが、誰も歌ってないので、心の中でSing Songですわ。

"What a Lucky man he was"

ラッキーな人たちは、今ここにいる全員ですわね。いま、この時間を共有できたことを本当にラッキーだとみんな思ったことでしょう。

そして、ファンファーレが高らかに響き渡り「Fanfare For The Common Man」!リズムカルに低音を支えるグレッグ様とパーマー様。そしてとても映像の中とは思えないほど踊り、暴れるようにオルガンを弾くキース様!「America」「Rondo」へとなだれ込み、キース様の勢いは止められない!ハモンドオルガンを叩くように弾き、拳を振り上げては弾き、オルガンの上へジャンプ!暴れるオルガン乗りこなし、倒し、客席近くへとオルガンと一緒にダイブし、弾く弾く弾く!!!そんな様子を笑いながら演奏するグレッグ様とカール様!

たしかに、あの空間に、EL&Pの3人が帰ってきておりましたわ!!!

キース様のインプロビゼーションが会場の興奮を頂点へと持っていき、感動はは最高潮へ!!気づいた時には席を立ちで拍手を送っておりましたわ!!

本当に来日してくださってありがとう。みんなをここに呼んでくれてありがとう!!本来、決して見ることの叶わなかったEL&Pのライブを見せてくださってありがとう!!!(あーもうだめ、泣いてますわ...)

メンバーがステージからはけ、会場が点灯しても拍手は鳴り止まず、アナウンスによって終了が告げられるまで、拍手が響き続けました。本当に素晴らしい2時間でした。

わたくしがプログレという沼に落ちるきっかけとなったEL&Pと、今年こういう形で巡り合うことができて、決して忘れることはない最高の思い出になりました。

ありがとうカール様。いつまでもお元気でいてくださいませ。もし、もし許されるならば、もう一度お目にかかれると嬉しいですわ...!!

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本当は、1日目と2日目の感想を分けようと思っていたのですが、このテンションなのと、もう書いている途中で泣いちゃうので、両日まとめて書いております。悪しからず...。

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セットリスト

  1. Karn

  2. Hoedown

  3. Knife-Edge

  4. Take a Pebble

  5. Benny the Bouncer

  6. Creole Dance

  7. Tarkus

  8. Guitar Solo

  9. Carmina Burana

  10. From the Beginning

  11. Paper Blood

  12. Lucky Man

  13. Fanfare for the Common Man~America~Rondo