私は仙台市の袋原という地元では治安云々で割と有名な町の出身なんだけど、いま実家はそこにはない。だからもう行くこともない。多分。
中学生の頃、自宅にも学校にも習い事にもなんとなく疎外感を感じて、ひとり名取川の川っぺりの茂みに座り込み、何事か一人で呟いていた。(しかも割とデカめの声で)
釣りのおっちゃんがそこらに点々といらっしゃったのだけど、多分頻繁に現れてはボソボソとでかい声で何かを喋っている女子学生はおっちゃんには奇異で恐怖な存在であっただろう。
自転車で颯爽と現れ、茂みにどさどさと入り込み、1時間くらい1人でボソボソ喋ったかと思うと、さささっと帰っていく。
想像しただけで怖い人や。
でもあの時間は当時の私にとってかけがいのないものだった。
自分という人間がよくわからなくて、人との関係構築もうまくいっているようには思えなくて、学校での自分、習い事での自分、家での自分が全部分離していて、それを一人で再確認するための、心をニュートラルにするための場所。
それが名取川の川っぺりだった。だから今もあの場所を思い出す。
元地元には酸いも甘いもいろんな思い出があるけれど、貴重な思い出に残る好きな場所。