辱めてやったぜ
障害競走チームのLANEに、口数少ないイズミスカイゲートから着信。
ふりふりのアップルグリーンのワンピースに身を包み、セントライト記念のスパートくらいの死にそうな赤い顔で歯を食いしばるデュオモンテ。
ミスカさん
わかってますね?
うわぁ。
演説家のデュオの短い返答。ガチのガチギレである。
眼鏡とるだけでカワイイ衣装も似合うんだなぁ……
これを3日もの間聖蹄祭で晒し者にされます
慰めてください
ダートで引退してしまい、寂しい気持ちはあったが、これはGJというほかないだろう。
眼福眼福。いいものを見た。
そうそう、ユメ×ダンにおすすめだからシアターのチケット抑えてるんだけど
暴走しないようにみんなで見に来てよ
何枚くらいいるかな、場合によってはその回貸し切りかもね
「…………とはいえヤケドは私もなんだよなぁ…………」
マンタスカイは、胡乱なことをつぶやきながら布団をかぶった。
「ねぇねぇダンケツ♡♡」
「お、おう……」
聞いてない。流石に聞いてない。
色ボケとかデュオモンテがいの一番に嫌いそうなものだ。
なんであんなにノリノリなんだよ。
いや……色ボケじゃないか、お耽美なのか、なんなんだあれ。情報量が多すぎる。
いろんなものにボコボコにされた結果、ウィリースクーターとわたしはボロボロの状態でリハ室を出た。
役者と役者と役者と役者を引っ張ってくるとこういうことになるのね。
一度覚悟を決めた後の格が違ったね。
カーテンを開いて、太陽の光で目を覚まさせてからのカーテンコールだけは、夢から這い出る装置として優秀だったけれど。
やり過ぎというか、やってはいけないわけではないのだろうけど……ダメというかなんというか。
「ハピハロー!」などと何食わぬ顔で廊下に出てきたデュオモンテをどついてカフェに放り込んだのは言うまでもない。
せっかくだし、何か買って帰るか、と思って、カフェのテイクアウトブースに並んだのだが……
「……デュオ?」
カフェブースもコンセプトを考えればステージ同然の場所だ。そのド真ん中でデュオモンテがうずくまってる。
視線の先には……ああ。
あーあーあー。
いつもデュオの応援に行くときに近くにいたあの子。なんなら春の天皇賞なんかでも一緒に走った。
「もう……もう4回目でしょ……」
『ほかならぬ店主のミスカトニアンが良いって言ってるんだけども』
「あんのブラックアグネスデジタルゥ……高畠競歩入賞したからって良い気になりやがってぇ……」
『こう言った方がいい?』『あなたの秘密とどちらが大事?』
「はい……グレーテル精いっぱい頑張ります……」
『こんなシナシナなグレーテルじゃあ心配だなぁ』
あ。
私、ダンケツ、ウィリー、ミスティ、ナミキ、レイアップ。
このあたりは歴がもう長いから。
最後の人だけなんかイントネーションおかしかったけど。
「……お気遣いなく。」
「ヴァンパイア様のお気の慰むるまで、お供致しますとも。」
「……暴走を止めろって」
「デュオのことだったかぁ……」
こういう時の頭の抱え時はずっと似てるんだな、と、ダテノダンケツの横顔にまた胡乱なことを思い浮かべたのであった。