意識を外に向けるのは苦手だ。
1人で街を歩くとき、電車に乗るとき、イヤホンで外界との界面を粗くする。自分とだけ対話する時間。
そうすることで、自分の世界への解像感が上がり、外の解像感は下がる。カメラのフォーカスを別のところに当て直したときのような感覚。
私は、そうやって自分とだけ、自分の世界で対話し続けることが好きだ。
何年か前に、ひどく傷ついたことがあった。自分の感情や思考が、なにか自分のじゃないものに専有されてると、ぽっかり穴があいたときに、やつらはついでに心にも穴を開けていく。
波風の立たない、静かで幽遠な心地いい世界。それじゃいけないことはわかるけど、もう少しだけ。もう少しだけ。