1人

たふみ
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「結婚しても1人の時間がないと生きていけなさそうなタイプだよね」と言われたことがある。

自分はまったくそう思ってなかった。環境への順応性はかなり高い方で、心の真ん中にある小さな核さえ守れていれば、こだわりや些末な気持ちは切り捨てて生きていけると思っている。

幼い頃からそうだったわけではなく、人生のどこかの分岐点でこう考えるようになった。何かを大事にすると、失ったときにどう生きていいかわからなくなってしまうから。自分の中で完結しない大事なものは、できるだけ大事なものだと思わないように。それでも大事にしたいと思ってしまうものは大事にする。つきなみで平凡な考え方だが、自己防衛は必要だと思う。

そのせいなのか、雑に人と関わることは苦手だと思う。そういう関わりは人生で必要なので武器として身につけてきた気がするが、心の何処かに、いつもズレを感じる。

共感することや会話することについて逐一考えてしまう。こんなことを書くほどであり、そんな自分が自分でも面倒くさい。

最近「いちばんすきな花」というドラマを見ている。すごく好き。「見ていて心が嫌なざわつき方をしない」枠暫定1位。随所に散らばる面倒くささが自分のそれとよく似ていると思う。

少し前に元パートナーと会う機会があった。辻村 深月さんの「傲慢と善良」という本を勧められて読んだ。今年1番刺さった本になった。もう1度読むかと言われるとちょっと辛いかもしれない。それぐらい自分にはぐさっと刺さるものがたくさんある。

関係なさそうな項目が書き並んでしまった。これら、自分の中で共通しているのは、人と生きるための距離の話である。1人でいるのは好きだけど苦手で、他人といるのは楽しいけど難しい。自分のために人との関わりがほしい。1人で生きるために人といて、人といるために1人でいる時間がほしい。

誰かと生きていきたい気もするが、もう誰とも生きていきたくない気もする。本当にいちいち面倒くさい。自分のご機嫌取りで明日も手一杯だろうな。

@qsf
中央揃え恐怖症のオンスクリーンプロダクトデザイナー qsf.jp