4周年フィガロのカドストを読んだ。苦しいと寂しいと優しいがあって、フィガロみたいだった。ふせったーに投げたけどこっち向きだったかも。すでに「しずかなインターネット」を脳のログだと思っているようだね、私は。
青い髪の間から覗く瞳がきれいだ。いつの間にか、晶が見てるみたいに想像できるようになってしまった。好きってことなのかもしれない。晶は見惚れてないけど、私は見惚れているかもしれない。
「戦闘の場で俺とミスラが大怪我したら、どちらを助けるのが正解?」という問い。困惑する晶。「空間移動魔法により全員が退避できるのだから、ミスラを助けるのが正解だ」と言うフィガロ。フィガロの合理。合理のように見える、愛の形。
フィガロの基本理念はトロッコ問題のようで、「一対多の命」の話をよく挙げる。雪崩の記憶がベースなのだろうし、神様みたいな振る舞いをするときは、多くの人間の幸福の勘定をしただろうから頷ける。もしかしたら、「裁定」をしなければいけないのなら、客観的に見て正しいと思われる判断をした方が心を守れるから、という理由もあるかもしれない。感情による判断の割合が増すほど、ただひとつの答えというのは遠のいて、手に取った回答は醜くなる。あとから「あれは仕方がなかった」と思えるように行動する、というのは、命に対しての妥当な振る舞いのひとつさ。ひとつの「ベスト」であるとも言える、と私は思っている。
一方、晶はどこまでも「一対一の心」の話をする人で。私は、「あなたがこれだけはしたくない、ということを教えてください」という質問をよく思い出すのだけれど。
だから二人の話は結構噛み合わない。晶はフィガロを大切にしたくて話しているのに、フィガロがフィガロを大切にしないから。「一を捨てて多を救う」、それこそがフィガロの愛の理念の遵守だから。そういう意味では、フィガロはフィガロを大切にするためにフィガロのことも大切にしない、と言えるのか。難しいな。
「俺がきみに縋りついて助けを乞うても、ミスラを助けるんだよ」という、晶を傷つける言葉。私は「なんでわざわざ露悪的な言い回しをするのか」、と言うけれど、晶は言わない。フィガロの言葉を脳で反芻する。
フィガロは「そういう瞬間が来る」ことを知っているから、それが唐突に来ることがあるってことも知っているから、だから前もって覚悟をしておいた方がいい、ということなのだろうけれど。フィガロの中にはとっくにそのような覚悟があるのだろうけれど。正しいのだけれど。……でも結果的に、(きっと)口を歪めた晶を見て、またひどい冗談で慰めて話をなかったことにする。ならないって。なかったことにしないよ、晶は。
ねえ、その言葉、ほんとにあなたは言うんですか。ミスラとあなたが大怪我を負って、晶がどちらかの手当をする。どちらかしか助けられない。そんなときに、あなたは晶の足に縋りついて「俺を助けて」って言うんですか。そのシチュエーションなら、「ミスラを助けなさい」って言うでしょう。晶が頷くだけで済むように。私はそう思っているけど、どうかな、フィガロ。
悲しくなるよ、このストーリーに出てくる「優先順位」、全部フィガロが自分のことを後回しにしている。
ていうか、晶が先約を優先する、って、そんなにびっくりすることかな。びっくりすることだったのかな。晶ならそうするだろうって私なら思うけど、フィガロが思わなかったのだとしたら客観視が随分できてないなあ、という気持ちになりますが?(喧嘩を売るな) 晶を毎日15回×2セットでタップしてほしい。
夕暮れ、晶が来てくれたから、フィガロも温かいお茶を飲むことになったのが、すごく嬉しかった。晶のために温かいお茶を淹れ直すフィガロのことも好きだ。単純化した構図にすれば、フィガロの愛がフィガロに返ってきた形になる。フィガロがフィガロに温かいお茶を飲ませている。その間にいるのが、ほかのプレイアブルキャラでなく晶でいることが嬉しい。カップリング的な意味でなく。晶が21人全員を一番に考える人だから、むしろ透明になるというか。うまく言えないのだけれど。
あと、最後に。
あなたはどうしていつも「助ける人がひとりだけ」というシチュエーションの話をするんだろうね。ひとりでずっと誰かたちを助けてきたからなんだろうな。まあ、2部もそうだったか……。でもそもそもそんなシチュエーションになかなか陥らないと思うよ。応急処置してくれる人は他にもいるし、〈アルシム〉できたらフィガロの治療もできる。大丈夫、みんながついている。
万が一そんなことになったら、「ミスラを助けなさい」とあなたが言う場面がきたなら、どうか、私にあなたを抱きしめさせてほしいよ。あなたが、あなたの分まであなた以外を大切にしただけ、私があなたを大切にしたい。どうか。