ミュージカル『テニスの王子様』全国立海編を観た

さと
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dアニメストアで4月末まで配信されていた、1stシーズン→2ndシーズン→3rdシーズン→7thドリライ→ドリライ2014の順に観ました。

想像の何倍も楽しかった!!!!!! 観られてよかった!!

好きな作品が舞台していくうちに知っている俳優さんが増えていったのと、2.5次元舞台の礎たる作品として気になっていたのと……で興味はあったのですが、X相互の方がエリオスをものすごい速さで駆け抜けてくださったのが最後の一押しになり、配信を観るに至った形です。

ものすごい速さでエリオスのストを読んでくれて、感想をたくさんつぶやいてくれて、ありがとうございました。おかげで私はテニミュを知らないままの人生にならずに済んだ。

私の事前知識

幼い頃にアニメを飛ばし飛ばしで観ていたけれど、キャラクター名とビジュアルはそれなりに一致するくらいで、ストーリーの記憶はあまり残っていない。当時は素直に二枚目キャラが好きだった記憶。

各種解像度低すぎワロタなのですが、マジでストーリーを覚えてない人間が書いている感想記事であることをご承知おきください。

存じ上げていた俳優さんたち

1st:手塚(エリステ)、不二周助(まほステ)、幸村(声優として)、柳(ヘタミュ)、千歳(ヘタミュ)、伊武(刀ミュ)、不二裕太(声優として)、阿久津(ヘタミュ・エリステ)

2nd:不二周助(まほステ)、菊丸(刀ミュ)、乾(エリステ)、幸村(まほステ)、千歳(刀ステ)、一氏(刀ステ、ヘタミュ、エリステ)、財前(刀ミュ)、南次郎(まほステ振付)

3rd:菊丸(まほステ)、不二周助(まほステ)、カツオ(まほステ)、柳生(エリステ)、財前(ブタキン)、伊武(刀ステ)、跡部(刀ミュ)

改めて挙げると多いな……。今回の公演だけでこれだもんな。元々まほステに結構元テニミュキャストがいらしてた(不二が多い)のは知っていたのですが、エリステで完全に閾値超えた感じがある。エリステではキャストのクロストークで名前は出ないけどデビュー作でよく話題に挙げられています。

『テニミュ』に触れて

観賞に至った理由の半分は歴史を知りたい、みたいなところだったりして。

1stが2010年だから実に15年前の作品なわけだけど、楽しさの質が全然古くない。ミュージカルの楽しさ自体がもっともっと古い時代に確立されていたから、というのもあると思うけど、オタクの楽しみも確立されてたんだな。自分がオタクコンテンツのライブに触れたのが『ラブライブ!』2期頃だったので、それ以前のオタクコンテンツライブのことを全然知らなくて、ドリライ7thは知らない歴史を知るような感慨があった。私が出会う前からオタクはライブを楽しんでたんだな、という、今更な気づきをね。

きっとテニミュが確立して、現在広く.5舞台作品で使われている知見も多いんだろうなあ。古典作品みたいに演出を変えてなんども公演が続けられている理由がわかった。

全然関係ないけど、観始めた頃は全員ハーパンにドギマギしていた。膝が見える衣装って見てこなかったから……いや、テニスなので当たり前なのだけれど……。みんな、脱毛させてごめん……(何の感情?)

ミュージカル適性、高すぎ。

そもそも『テニスの王子様』という作品のミュージカル適性がすごい。観るまで考えたことなかったんだけど、これを信じて作品化したのすごいし正しい。

試合が曲に乗って進むのがそもそもミュージカル向きというか。音楽で緊迫とか余裕とかも含めた管理ができるのと、なにより曲のテンポにラリーの音が乗るのが楽しい。ボレーだと半拍ずれたりだとか、ダブルスだとよりリズムに幅が出て、音ハメ厨は脳汁出してた。

さらに、技の解説とかで「時が止まる」演出も、音楽が止まることで違和感なく乗せられる。これ楽しかったなあ。緩急がついていいよね。

プロジェクションマッピングとかがあると中途半端に時代を感じたと思うんだけど、舞台の上に何もないからほんと、時代感がノイズにならなかった。

時代感を感じたのは映像。1stの冒頭でヘリコプター出てきたときはさすがに笑ってしまった。2ndと3rdもそれぞれ違う演出の面白さがあってよかったです。

音楽、楽しいね♪

坂部さんにはまほステで大変お世話になっておりまして、これがテニミュを観る・そして観なかった理由である。元カノを知るような気持ちになるという、気味の悪い感情なのですが……。

前情報としては「過去シーズンのリメイクが多い演目だから大丈夫だと思う」でした。全然楽しめた。

正式にクレジットされてるのは3rdからだったけど、2ndでもそれっぽさを感じる曲あったよな~と思ってたら、ドリライ2014のスタッフロールで音楽アレンジとしてクレジットされてて、やっぱそうだよね!? になった。2ndの歌詞カード見たらわかるかと思ったけど全然クレジットされてなかった。てんめえ。

歌謡曲的なある意味のダサさ(これはキャッチーさとも渾然一体である)は結構普遍さを持っていて、1stの音楽もそこまで古さを感じなかった。昭和後期の歌謡曲って今も全然聴く機会あるからね。

個人的にはもともとの曲がエレキギターが多くて、まほステで聴く機会が少なかったのでなるほどねと思いながら楽しめた。

4thはYuさんも作曲担当してらっしゃるとのことで、得意分野が違うだろうからちょっと4thの全国立海も観てみたい気持ちになった。

シーズンによって曲になったりセリフになったりカットされたりがあるのが面白い。元となった漫画のセリフがメロディーを変えて残っていたりとか。前シーズンでセリフで聞いた歌詞が聞こえてくるとか。3周してるからできることすぎる。

ライバルズによる過去公演リプライズは熱すぎるので、原作にこの辺の描写がないと聞いたときびっくりしたけど、「ミュージカル」だったらやるしかないよな、と納得した。2ndで1公演は無理だろと思ったけど、ここがなかったとしたらワンチャンできたかもしれないから、発想としてはアリだったのだろうな。でもリプライズの歓びって脳を灼くから、ここを削るとものすごいデバフになってしまう気がする。難しいね。

舞台の上に何もない。

私が普段観てる作品は高さのあるセットを使って舞台の奥を潰してる作品が多くて(映像が関係してるのだろう)、最初にテニミュを観た時、奥行きがすごすきで「八百屋舞台?」と思ってたら、違うよと教えて頂いた。何も置かれてないから、マジで舞台の奥まで使えて物理遠近感が発生するんだね。物理遠近感とは。

コートの見せ方も面白かった。

観客席の向きが固定されているから、違う視点で見せたかったら演者側が動くか舞台を回すかしかない。舞台は回さない方針を取っているっぽいので、演者がネットと共に動く。

「テニスの試合」のポジションってまあ、わかるので、最悪ネットがなくても位置関係に迷わないのが面白い。どれだけ角度を変えても対立している構図が続く。もちろん相手のコートに入る演出もあるが。ここで「テニスは相手のコートに入りません。」と思う脳みそでなかったのも波長が合ってたかも。多分舞台やミュージカルをなんも観てない頃の自分だったらこれを面白がってしまっていたかもしれない。

「構図」をすごく感じたんだよね。コートが縦になってる(?)ときは奥側のキャラクターの表情がよく見えるから、余裕さやピンチさも汲み取りやすい。「テニスのコートとベンチ」という、型のあるものだからこそ構図から意図を汲み取りやすいというか。

円盤カメラ、コマ割りのようなダイナミックさ

1stシーズンでも古臭くなかった要因、カメラのカット割り? がめっちゃアニメのカット割りっぽいというか、漫画のコマ割りっぽいというか、だったからだと思ってるんだけど、どうだろう。

普段は円盤より公演の配信で舞台の映像を観ることが多いから、あまりダイナミックな映像の印象がなかったんだけど、遡った作品ほどダイナミックさを顕著に感じた。

どアップとか、客席から見えない角度のカメラとか、「出た!」の瞬間のベンチの切り抜き方とか、結構目まぐるしくて面白かった。あまり出会ってこなかったタイプのカメラだったから、新しいとさえ感じた。

3rdはかなり「知ってるカメラ」だった。「私が知ってる2.5次元舞台ってこれ!」感があった。でも3rdが優れてるっていう印象ではなくて、ちょっと不思議だったな。

地毛って最高

ほら、私が追ってるコンテンツって、メンカラがあるような(ありそうな)キャラクター造形のコンテンツなので、ウィッグ必須なんですよね。

それがさあ、リョーマはじめ、手塚や不二も真田も、地毛じゃん!!(全員じゃないけど)

何がいいって、汗がね、髪を伝うのが、いい……………………(そうですか)

リョーマが汗だくになりながら天衣無縫をやっているとこ、たまらなかった。幸村はウィッグっぽいのも含めて対比。

ウィッグ、どちらかというと不自然さを感じることが多くなるから、地毛でいける人は地毛で行くのもアリなんだなあと知った。

もったいぶらない構成

1stシーズンを再生しはじめたとき、熱くはあるんだけど、すぐに第1試合が終わってしまって思わず一時停止したのを覚えている。手塚と真田の試合、原作やアニメだったら何週間もかけて享受していたであろうものを、30-40分で見ていいものか!? とどきどきしてしまって……。ずっと「いかないで~涙」になっていた。舞台、一番速く試合が終わってしまうメディアなのでは。

まあその感覚も、2ndを終える頃にはなくなっていましたが。連載と並走していただろう1stシーズンのリアタイとか結構そういう感覚あったんじゃなかろうか。

キャラクターを改めて知る

アニメをうっすら観ていたのが小学生の頃だったため、技は知っていてもストーリーもキャラクターも読めていなかった。改めて『テニスの王子様』に出会えたことに感謝。

不二のカウンター戦術は「勝つことに執着できない→受け身のテニス」の表現だったんだなあ、とか。当時は底の見えない強キャラかっこい~くらいにしか思っていなかった。

手塚のことは冷たい人だと思っていたから、「いやいやいやいや!!」になった。めちゃめちゃ熱いひとじゃないか、この人……。ばばりょさんの漏れ出る熱さの感じ、ブラッドでも見た……! になり、面白かった。

小学生の私、マジで顔しか見てなさすぎる。乾・海堂ペアとか絶対旨味すごいだろここ。対戦相手とも因縁があると聞いてそりゃ美味いやつだになった。

ちなみに仁王の「プリッ」はPretenderの「プリ」だと思ったんですが、どうでしょうか……。

最後の試合の最後の起死回生が、「テニスって楽しいじゃん!」であることの最高さとかも、当時読んでもわからなかっただろうなあ。ストーリーの楽しさも改めて知れてよかった。

同じ試合のシーズン違いを観るという楽しさ

5年毎の配信はレアすぎるし、音楽もサブスク配信してくれ。今、CDをTSUTAYAディスカスで取り寄せています。

私が重い腰を上げたのが周年記念配信の大トリだったせいで、シーズンクライマックスの公演をいきなり観ることになってしまった。

大丈夫かな? と思ってたけど、きょうだいがテニス部だった関係でテニスのルールは概ね知ってるし、そもそもバトルの文脈だし、全然大丈夫だったね。たしかに私が一番ルールちゃんと知ってるスポーツってテニスだったかも。よかった~(?)

そういう風に見てほしいからそう配信しているのだろうけど、シーズン違いの同じ演目をまとめて配信してくれていたので、違いを楽しむ楽しみ方ができたのは嬉しかった。

でも前述の通り、「古い」とはあまり感じなくて。技術的な部分より原作解釈や演出の違いに注目できたのも良かった。

リョーマはアニメの印象が強くて、知ってるリョーマと違う印象だな~と思ってたんだけど、3rdまでには慣れた。かつ3rdリョーマが記憶喪失の無垢さも含めて一番しっくり来ました。でも2ndの幸村曲の操られがめちゃめちゃ好きだった。個人の感想です。

リョーマが記憶を取り戻して、幸村との試合で「天衣無縫の極み」に至る、というストーリーの流れは同じだし重み付けも大きく変わらないからこそ違いが見えたのもよかった。1stは前編の記憶喪失関連のエピソードが飛び飛びになってたりして、ちゃんと理解したのは2ndだった。そう、私は観劇に向いていない人間……いやなんだってすぐ誤読してますけどね。

「記憶喪失になり、もう一度テニスに出会う」の流れがあるから「初めてテニスに出会ったときの天衣無縫」につながるんだ~! と気付いたときの嬉しさ。

天衣無縫リョーマ関連の演出は3rdが一番好きだったというか揺さぶられた。ちょっとあんまりにも「主人公」すぎて涙が出たよ。後光が差していた。幸村も「神の子」で後光差してるタイプだったけど、リョーマの後光は「太陽」だったなあ……。

一番違いを感じたのが幸村だったのだけれど、2ndの幸村、めちゃめちゃしんどそうで、「全国三連覇」のプレッシャーを抱えて病を越えてここまできた苦しさを感じた。リョーマの「テニスって楽しいじゃん」に対比される「苦しさ」のベクトルが一番正反対であるなあと感じたのは2ndでした。でも多分、2nd幸村ってまっすぐな造形じゃないんじゃないのでは?

通して見て感じたのは、幸村、外部要因(プレッシャーとか)による苦しさの人っていうより、「テニスって楽しいじゃん!」が純粋にわからない人、という表現の方が王道の人なんじゃないかな。1stと3rdはその系統だった気がする。

1stは際立って魔王感が強くて、「無」と戦ってるのか!? みたいな気持ちになった。魔っすーと呼ばれているのを当時観劇していた相互さんに教えてもらった。3rdは人間っぽさというか、柔らかさもありつつラスボス感もあった。

2ndは1作でまとめているのもあって、今通して見るという前提だけど、取捨選択の比較として面白かったな。

仁王は1stが好きかな~とか、手塚は優勝のときの笑みがみんな違ってかわいいな~とか、3rdの乾は一番ツダケンを感じたな~とか、菊丸はみんな顔がかわいいね~とか、楽しかったです。

ドリライもたのしかった

はじめは毎年やってたのかな、ドリライ。

7thですでに横アリでさっすが~! と思ってたら、2014はSSAでたまげた すでにそこに至ってたんだ。

私はペンライトを振る感じのイベントに出会ったのがラブライブ! の2期あたりだったので、ちょうどドリライ2014のあたりか。

そう、なので私は「サイリウムの時代」というのを知らないんですよ。だから7thで「暗めの色が変わらない明かり」を見て、もしかして「サイリウムか!?!?!?!?」になった。お祭りで買ったようなブレスレットタイプのを付けてる人もいて、当時の背景を知ることができたのも面白かったね。ラブライブ! 以前のオタクライブコンテンツってアイマスあたりになるのだろうか。

コーレスが「試合の応援」として存在するのめっちゃ良くて「この場にいたかったぜ……」の気持ちにされた。各校のコールめちゃ好きだったよ。

7thは毎年やってた関係か、全国立海の曲がメインだったけれど、2014は全部乗せでやった~! になっていた。ライバルズのリプライズ元だ! CD借りたら37曲あってたまげた。無限すぎるだろ。

ドリライでだけ拝見した他校の皆様、さらに知ってる方が増えて祭りの様相だった。思い出のアルバム。

お客さんの声援がいっぱい聞こえるの、楽しいね。

私は3rd全国立海の直後にTDCを使っていた作品で観劇の楽しさを知ったのですが、その作品は都の大規模イベント自粛要請で最後まで公演ができませんでした。だから、テニミュは最後までできたんだなあ、よかったなあ、と思っていたのだけれど、このドリライがなくなったんだと知って、いやそれは、めちゃめちゃ苦しかったよなと……。

ライブイベントってちょっとメタっぽくなる(そもそもがストーリーの文脈を切り取って再演されるつくりなので)のも沸いた。不二のラケット使う仁王のとこ、楽しかったです。

 

おわりに

ひとつ強く思ったのは、ニコニコ動画でテニミュに出会ってなくてよかった……ということ。

当時ニコ厨ではあったんだけど、某メドレーでだけテニミュの曲を知ってたくらいで転載動画は見たことがなかった。

今考えると本当に嫌なインターネットだったので、あそこで変に出会って変な見られ方をしてるさまを知らなくてよかったよ……。まあ結果論ですが。

4th全国立海、まだ先だろうけど、タイミングが合えばぜひ観れたらいいなあと思う。近くまできてくれたり……きてくれたり……しないかな!

@quale
私のクオリア