楽しかった。『アイドル』バク上がりしたね。
なんというか、結局テレビを見なくなっても「バズり」と形を変えながら「みんなが盛り上がってるものをリアルタイムで目撃できると嬉しい」という感覚は続いているから、紅白がそのお祭り騒ぎを担おうとしている感じは好きなんだよね。
時代の流れの速さにきっちり追いつけているかはわからないし、こう、シンゴジラの年とかはよくわからない雰囲気ではあった(色々あったんだろうと思う)けれど、「曲を披露する」だけで一年総まとめになった時代から少しずつ形を変えながら、大晦日の「楽しい」を与えてくれているな、と感じる。
私は『Snow halation』でペンライトを学んだ人間なので、紅白で興味もない人たちに配られた連動ペンラが本当に好きでなかった。あんな適当に振られるなら、ない方がいいと何年も思っていたんですけれども。これも、アイドル系の出演者は別スタジオでファンを入れてのパフォーマンスにすることで、ちゃんと盛り上がりがあるものになっていた。個人的にはこれがすごく嬉しかったかも。
星野源さんの話
さて、私は星野源さんのファンなのだけれど。今回生中継だった?! 実に2018年『アイデア』以来の生出演のパフォーマンスじゃん。→収録っぽいですね。
リアタイしてたときは生中継かと思ってちょっと感動してしまったんだよね。紅白って転換とかリアルタイムのパフォーマンスをカツカツで実現してる番組だと思うのだけど、2019年はそこも含めた「世の中」(いわゆる「茶の間」)からの脱出が『Same Thing』だったと感じていたから、ああ、そこに固執することなく生のパフォーマンスに戻ってきたんだなあ、と感じた。りしたけど、収録だったよ!(爆)
今年も当たり前みたいに生演奏・フル歌唱。この贅沢ができるのは収録だからこそなんだよなあ。私は収録を悪いとは思わないけれど、わざわざ曲紹介のだめだけに移動して生中継っぽさを出すのは意味わからんからやめてくれ~と思う。
『生命体』、楽しかった。ストリングスは茶の間サービスなところもあると思うけれど、美央さんのストリングス隊好きだから嬉しかった。この曲はミニマムな構成に意味があるとは思いつつも、ね。
相変わらず長岡亮介さんをコーラス・手拍子やさんにするの畏れ多くてびびるのだけれども。でもこの手拍子ライブでやりてえ~ ライブやってくれ
『生命体』、はじめは怖くてあんまり聴けていなかったんだけど、半年経ってだいぶ聴けるようになった。削ぎ落とした極限の状態で行われるスポーツというものをやる人たちが怖くて近寄りがたかった、という。でも、観戦する視点の息が止まるような感覚のことも歌ってくれているような感じがしてから一気に楽しく聴けるようになった。スポーツ観戦する人ではないのだけれど、それでも。スポーツ(テーマ曲として使われている以外では、もっと広い概念を含んでいる)にまつわる歓喜の曲だよなあと思った。
全然紅白の話じゃなくなってるな。
『アイドル』
『アイドル』の話。そして「アイドル」の話。
いや、よかったよねえ。
私は現実のアイドルにどっぷり浸かったことはないのだけれど、二次元コンテンツはいくつも楽しませてもらったので、ちょっとは理解できた。(舞台とか観ると思うけど、二次元と三次元はやっぱり違う。実在するって、とんでもない情報量だ。)
『【推しの子】』は漫画もアニメも一応追っている人間です。アイドルコンテンツコンテンツ。
『アイドル』のパフォーマンスを目撃した瞬間、「アイドルたちが『アイドル』を踊るの、正しすぎる!!!!!!!!!!!!」て立ち上がった。年越しそばは伸びた。事前に特別企画としてアナウンスあったらしいけど全然情報収集してなかったおかげでど真ん中から殴られた。ありがとう。
ていうか国内テレビ初歌唱て 4月の曲だぞ パワーのため方がすごい。レコ大も出てなかったの知らなかったよ。
しかもさあ、サビの振りが「Tiktokで見たやつだなあ~(私はYoutubeショート民ですが)」と思ってたら、日韓のそれぞれのバズった振り付けを活用してるんすか!? 2023年すぎる 正しい。たったひとりの投稿が大きな組織を動かすエネルギーになりうる時代。
紅白2023で載せられる「アイドル」の文脈を全部載っけていたよね。
「正しい!!!!!!」と思ったあとに、『【推しの子】』の内容を思い出して「アイドルが『アイドル』踊ってる構図、グロくない?」と思った。この段階でちょっと盛り上がってしまったのだけれど、多分この読み方も不十分で。
あそこで踊ってたの、トップアイドルのみなさんですよ。「アイドル」がグロいと感じていない人たちがこの舞台に立ってるわけがない。んなもん全部飲み込んで(あるいは口に含んで)踊ってくれているのだと。無自覚なステージングなわけもない。グロテスクさを狙ってのステージングなら、その沼の上で笑顔で歌って踊る職業なのだから。『【推しの子】』って、そういう作品だし。
でも、『【推しの子】』がアイドルという職業の否定をテーマにした作品でないことも忘れないでいたいよね。アイドル界隈に遠いから「うへ~」と顔をしかめて今回のパフォーマンスを眺めるのも適切ではない。ものすごくうまい塩梅にエンタメにしてる作品だからという部分もあるけれど、虚の中にあるきらめきを信じている作品だと感じているから……。
実際に踊り(ダンス、という言葉が一番に出てこない辺り、時代に乗れていない)で参加していたアイドルのファンの皆さんが「最高!」と喜んでいる様はとても楽しいものだった。これをグロテスクに見る見方もあると思うけど、それは「今回のパフォーマンス」の作品解釈だよね。読み方がいっぱいあって嬉しい。
次々に現れるアイドルユニットがそれぞれの振り付けを披露してくれるところ(2コーラス目)もよかったなあ。ワクワクして、「アイドル」だなあ……と思った。
サビ前の「天使と悪魔の最終決戦」画像のオマージュパフォーマンスも、な、何!? インターネットじゃないですか。紅白ってインターネットやってくれるんだ。というより、世の中が本格的にインターネットになってきたんだな、という実感。
アイドルの文脈でいえば、伊藤蘭さんのパフォーマンスが素敵で、これも踏まえたくなった。50年という時を経て、人生を経て、アイドルと観客がコールアンドレスポンスができるという証明。これを先にやった上で『アイドル』のパフォーマンスがあったんだよねえ。きっと「アイドル」は思うより刹那ではない。刹那主義や破滅願望が跋扈している世の中ではあるけれど。なんか、そういう安心感? みたいなのを、終演後(?)に思考を辿ってて覚えたな。
ジャニーズの件も絡めた投稿もたくさん見かけたけれど、私は自分の意見を適切に言語化する力がないので控えておきます。
ちなみにYOASOBIのライブに行っていくらちゃんのファンになった母はいくらちゃんを映せとぷりぷりしておりました。そういう人もいる。私はYOASOBIを物語性や文脈を大事にしてるアーティストだと思ってるから、映る時間が少なくても「ここでしか実現できない、YOASOBIの『アイドル』のパフォーマンス」だと思った派です。
楽しかったです
ポケビとブラビの曲、特にサビの歌詞が令和みたいな曲(形容動詞:令和だ)でなんかものすごくしっくりきたな。元気になるいい曲だった。こんなにいい曲なの知らなかった。
これは2018年紅白で源さんが歌った『アイデア』の話なんですが、(「恋ダンス」ブームを経た)世の中への呪いを歌った2番でカメラを掴むパフォーマンスをされて。私は見た瞬間ぞっとして、その後友人が「あれは『撮るな』だよねえ」と言語化してくれて、それだ! になったのですが。これも、「カメラを掴むファンサ」として見れば盛り上がりポイントであり、「撮るな」として見ればぞっ……ポイントなんですよね。今回の『アイドル』といい、こういう こう 読解のあるパフォーマンスのことが 好きというか 「目撃した」感ありますよねえ……。
今や一周回ってリアルタイム性、集まることへの価値が高まっているご時世だし、紅白もうまいことやったら「大晦日は紅白しながらインターネットで盛り上がろう!」になれる感じがあるよね。なれそうだなと思うくらいにはじわじわ変わってきていると感じる。テレビの渋谷ハロウィンになろうぜ。
また来年……今年か! の紅白も楽しみです。一年、また流行りのものも好きなものも、いろんな音楽を楽しめるといいな。
新年の抱負
さて、気づきましたでしょうか。私の今年の目標は、「作品名に二重括弧を使う」です。