3章M1って神曲かも

さと
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いや、神曲である(反語)

 

まほステって最高!(挨拶)

今回は3章M1が大好きな私のために書く「3章M1ってマジでいいよね」エントリ。自分の感想は自分を救うからね。

みんな大好き3章M1。私は特にキャラ紹介部(称号メドレー)が大好きなのでそこへの気持ちをね、残しておくよ。3章円盤買ってまず全景のこの曲見てダー泣いた。(報告)

全体的な話

まずはど直球に「絡み合う因縁」な魔法使いたちをわずか160秒で紹介しまくれる「音楽」の力を称えたい。

160秒で21人の紹介。一人頭7.6秒。BGMが120だから15拍。4小節ないくらい。そこにサビも含まれる。

結果、なんと1キャラあたり最短2小節! どゆこと!?

うまいこと称号相手との2小節の言葉を使って4小節でふたりの紹介をしてくれる ……どゆこと!? さすがに2小節なのでおおまかなニュアンスだったりはするけど、2小節でこんなに伝えられるか? というくらいの的確さ。

「隣にいてほしいと」「繋ぎ止めた運命」←優勝

つい歌詞に着目してしまうけれど、歌詞だけではなく、立ち位置や楽器の編成で彼らの間にある距離・まなざし・温度感を、文字通り全身で伝えてくれる。

これは舞台ならではの説得力だなあと思う。生身の人間としてキャラクターが目の前にいることの存在感と情報量って計り知れない。生き物だから生き物を見て情報を得る能力に長けてるんだな、と気づく。

この称号メドレー、私は「本を開いて最初の見開きにある人物紹介」と呼んでいる。ミュージカルにおける「歌詞」って結構メタ寄り(セリフとして出てこない感情の表現など)なことがあり、この曲もそうだな~と思っているので。「歌詞」は、彼らの喋る「セリフ」とは違う。

曲の構成としても、まず晶が本を開くところから始まるし、そもそも「M1、これまでの物語」だからね。「これまでの物語」としてこのキャラクター同士の絡まり合いをドンと出してくるの、「まほやく」の魅力の捉え方が適切で助かることこの上なし。

 

さて、歌詞を貼ります!

舞台『魔法使いの約束』第3章 「これまでの物語~壊れかけた信頼」より

き、きれい~~~~!!!!

各キャラ1行ずつ歌ってくれている。2小節か4小節。

こうやって見ると、2小節組は「隣」「はず」など繰り返しの表現を使うことで、最小語数でニュアンスを出しているんだなあ~とわかる。(初回観劇時はかわるがわる現れる魔法使いたちにそんなこと考えている暇がなかった。)

そうはいっても二人で一つのフレーズを歌ってくれてるから、個人フレーズとしての咀嚼と称号フレーズとしての咀嚼ができる。情報量倍増。

1コーラス目は「隣にいる」人たちで、2コーラス目は「隣にいない」人たちなのもエグめ。まほステって最高かも。

後半組は4小節をのびのびと使っていて、結構キー高めのメロディになってて聴いているこっちも昂ぶる。でもこっちは結構キャラによってメロディ違うんだよね! 歌詞もふたりの距離感間柄の説明って言うよりは自己紹介に近いものが多い。

 

(概ね)称号別感想

幼馴染

「隣りにいる『誰か』」ね…………。これが彼らのいじらしさだよね。

舞台上で近づいたりすれ違ったり、目を合わせたり逸したりしながら、あるいたり止まったりしている。幸運なことに1回最前列で観劇できたんだけど、なんというか、「人間」すぎて驚愕した。二人からマジで目が離せなくてびっくりしたし、「舞台ってこういうこと(ずっと人が動いている)なんだ」と学んだ。全景観ると泣くのはこの衝撃的な記憶が蘇るせい。

クロエとかリケもそうだけど、若い魔法使いたちの「可愛げ」が弦楽器のピチカートやグロッケンとかのスタッカート気味の音色として表現されている気がする。ここの弦楽器はロングトーンとピチカートが混ざってて好きなんだけど、どういうパート分けなんだ? コントラバスは拍頭でピッツしてる(晶のパートからだから雰囲気が続いてていい)

 

西師弟

優しいんだ二人ともの声が……。

配信でアップになったときにクロエの手が震えてて、「目撃してしまった……」と感じたよね。てか「隣にいる誰かと」がラスティカパートじゃなくて本当に良かった。本当に。

近いんだ、距離が。二人寄り添って高いところで空を見上げてる。う……「世界に一つだけのスカーフ」……。

しっかりとラスティカのパートからチェンバロが入るの、好。

幼馴染から続くチェロっぽい音の優しいメロディが好きです。4人かけてふわりと上がっていく感覚、良い。

 

元相棒

出だし二組と違ってステージの高低差を使うぜ!!!! なぜなら「元」だから!!!!!! その①

ここでブラッドリーエレキベースとファウストトラップビートが入って、「まほステだ!!!!」と歓喜する。

陰気物騒の二人って音楽で特徴づけられてて好きなんだ。多分陰気物騒のおかげだと思う。面白すぎる。バスドラ利いてるのも楽しい。

  

元主従

出だし二組と違ってステージの高低差を使うぜ!!!! なぜなら「元」だから!!!!!! その②

これに気づいたときオホホて笑いそうになったんだけど、円盤見てたらサビのとこでレノックスが歩いてファウストと高さ合わせてて「お、おまえ……!」になった。2部のフィガロ→レノックス評を経てここを観ると余計にね。

ステのレノックスってこの「お、おまえ……!」感がかなり強い。中央祝祭のフィガロとのシーンでも結構強く感じた。愚直さもあるが人の懐の構造を理解してそこに寄り添おうという意思が原作より強い気がする。

前半は「出会った頃から今まで隣にいる人たち」、後半は「『元』だけど隣にいる人たち」なの、良いです。並べることで意味が生まれる。

 

サビ

なんて言葉をキャラクターに歌わせるんだ。メタの曲だよこれは。「難解で美しい」って消費側のセリフのように聴こえて厳しい~~けど、ちゃんと彼らを見ている晶も同じ言葉を使いうると思うから、言葉が全てじゃないんですよ(戒め)

ファウストのビブラートがめちゃめちゃによく聴こえる。

 

仲良し

仲良しパートから楽器の編成が結構変わって、オーケストラっぽい編成になる。管楽器が一気に登場して華やかに。ベースもエレキからウッドベースへ、リズムもスネアドラム中心に。今あらためて聴くとかなり中央的な編成かもしれない。

元々因縁があるわけではない二人だからそれぞれの気持ちを歌いあげててくれててありがとう! 自己紹介フレーズだね。 

だーっと奥から小走りで登場して一音目から高音で入るリケが本当に好きだった。ビブラートとかない、ただただまっすぐな歌声に心が苦しくなる。まっすぐだから苦しいことってあるんだよな。まっすぐでいさされることへの苦しみもある。

ミチルはここで歌うほどに「強い魔法使いになりたい」なんだよなあ、と思うと、2部……………………。いや、ミチルはずっと抑圧されてるんですよ。1部メインスト(特にステ)ってミチルが抑圧されてるシーンが結構あるのに深掘りされず話が進むから、そういうとこもやだよね!

 

縁ある

4小節組の中で唯一会話しているふたり。

「ミスラの約束」はタイトル回収感もあり、終盤の見せ場でもあるので、こう、ミスラ側は端的にチレッタのことを歌えないんですよね。故に、人物紹介というメタ役割のある曲でも「覚えていない」が紹介文となるなのだなあ。

ルチルがこの曲の最高音を歌ってるんですが、だからこそミスラパートの静けさが際立ってたまらねえ~~!! ミスラパートの音が低いわけじゃないんだよね、ルチルが高いから相対的に低く感じられる。

ちゃんと敬語なのもたまらん。

オケも、仲良しパートからの勢いをルチルパートまでは引き継いでくる(ルチルからストリングスが強くなるにはなる)んだけど、ミスラパートに入った瞬間ぐっと楽器数が減って寒々しい空気になるのがたまらん。弦楽器も消えてウインドチャイムとピアノがメインに。バックに死の湖と雪が見えるよ……。

あとマジで二人の距離が遠い。遠いミスラに届けようと声を張るルチルに思えても~~! となる。メインスト一部はミスラがボス疑い枠なので、本来よりやや遠めに設定されている距離と感じる。

 

強い絆

「隣にいなくても」「感じあえる絆」←ぜってえオズは言わない言葉すぎて好き

ちょっと言葉選びがアーサーに寄っているというか、急に王道少年漫画になってて面白い。ここで弦楽器が刻みになってちょっと強くなるのがいい。コントラバスってちょっとオズっぽいよね。

双子に入る直前にグロッケンが入るの、雪でカット切り替えしてる感じがして最高。

 

双子

そう、双子でやるんすよ!!!!!!!!!!!!!!!!! てめえ!!!!!!!!

「達観」「年長者」とはなんだったのか。でも多分これが本当なんだよな。

後ろのホルンの音? がめちゃめちゃ好き。スノウがホワイトの肩を抱いて目を瞑る一連の美しすぎる動作と合いすぎてるんです、このホルンの音が……。この曲、双子パートが一番好きかもしれない。

「隣にいてほしいと繋ぎ止めた運命」という一続きの文でありながら、2つの場面を思わせるのが苦しすぎる。ホワイトの歌声は旅を遮ったそのときのことを、スノウの歌声は魂を繋いだそのときのことを思い出させて……。

彼らが「同じ」だった時間の方が遥かに遥かに長いのに、今となってはこの変曲点が「彼ら」になるんだなあという無情さを感じる。

 

因縁

歌詞画像見てほしいんですが、2コーラス目では元相棒パートにあたる部分がまるっと抜けてるので元主従の高めで入るメロディをオーエンが歌うんですね。これがたまらねえ~~~~~!!!! 

オーエンって「(自分の本心がわかっていない)戸惑い」が味のひとつだと思うんですが、このメロディの置き方のおかげで「面食らっているさま」が感じ取れるんですよ。1コーラス目から4小節ぶっこ抜いた不安定さでこれを表現するの最高~~! 神永さんの声色の力ももちろんある。本当にいい。戸惑ってる声をしてるんだよなあ……。

歌詞で会話が成立しててそうでしていないのもいい。

 

サビ

1週目はフルートだったところに弦楽器がピッツでいらっしゃる。かわいいね。人数が多いので声も厚くてかっこよかった。

 

愛憎

フィガロを一人にしないためにこっちに来てくださったようにも見えつつ、でも「はず」の人たちじゃないよな、と思うからこっちが順当。

そして音がここからは弦楽器とピアノメインになる。「まほステ」的な編成だけど、ピアノは愛憎的だと感じるなあ。

シャイロックの裏から登場する音、チェンバロだと思ってたけどもしかしてアコギ? わからん、チェンバロなら西(強いていうなら。西師弟的、が正確だけど)アコギだと南だなと思う。ヴァイオリン属とギターの組み合わせはフィガロ的でもある(劇伴版「夢見る明日」)から、どうだろう。

ふたりの歌詞、ずっと「愛憎」としてのフレーズだと思って聴いてたけど、よくよく聴いたらシャイロックの「あなたを誘い込む気まぐれな風」って何? となり。仲良しの二人と同じく、単独で意味を持つ自己紹介フレーズかあ~ということにしました(自分の理解として)。

たまらないな、愛憎って自己紹介フレーズを任されるんだ。シャイロックの自認が「気まぐれな風」なの可愛い人すぎる。そういうところが「気まぐれな風」なのだと思う。こちらの顎をくすぐるような……。

シャイロックはリケと同じメロディで歌ってるのでムルはミチルに対応すると思うのだけど、休符使いまくったメロディに変えてるのがめっちゃ好き。ムルだなあ~と思う。橋本さんの身体性というか、柔らかで伸縮性の高い(猫のようかも)動きが好きだ。

  

フィガロ

なんでや。

「称号メドレー」と思ってたのにコレ。2章M1に続き愛されてるねえ~。

なんでや、と言いつつ、私はこれに非常に納得していて。これは個人的な考えなのですが、フィガロの称号は双子とではないと思っている。

フィガロの造形、「二人ペアを作らないキャラを一人つくりましょう。その代わりに色んなところに関わってる人にしましょう」だと思ってて……。強いて言うなら称号相手はユーザーなのではないか、と。

3周年のカドストもどのフィガロを残すかはユーザーに委ねられてたし……。3周年って彼らが「物語のキャラクター」であることを前面に出したコピーだったし……。

「近づきすぎには気をつけて」だって、なんでこの人だけ私に問いかけて来るんですか!?  いや、シャイロックも「あなた」と歌っているけど、私個人というよりは、シャイロックから見たいくつもの「あなた」な印象を受ける。バーの客人としての自我が疼く感じ。フィガロは「客席に座る私(たち)」だと思う(執拗)。

一応「見たくないものまで見えてしまうかも」までフィガロなのかなあ~と思ってますが(あまりに言葉の繋がりがいいので)、愛憎も「近づきすぎると見失う」の人たちだから、補助線はあるワードだなと。「月」とか「ムル」とか「真実」とか、その辺のワードと混じりがいい言葉だと思うので。

楽器編成は愛憎とほぼ一緒に聴こえるけど、ちょっと弦楽器が前に出てきている感じはするね。

しかし、「近づきすぎには気をつけて」なんだな……フィガロ……。わ、わかりすぎる……。

おわりに

3章M1って最高だね。自分が現地観劇した最初の作品だから余計に思い入れがあるのかもしれないけど、登場人物をこんなに鮮やかに紹介できるんだ……と思って感動したよ。

4周年ストの舞台でガチガチのリプライズやって2部後の変化に口角上げたい感覚はあるね。いつになるんだ……。オタクとして元気にやっているかどうかもわからないが……。

@quale
私のクオリア