シャニマスのコミュを一通り見直すことにした。
アニメ2章を観に行ったのがきっかけと言えばきっかけ。資格試験とかがすっきり終わったタイミングでもあった。またしっかりシャニマスしたいなってずっとずっと思ってたので、きっかけさえあればいつでも決意は固まる準備はできていた。そんなわけで、膨大な量のコミュをちょっとずつ読み直すことにした。
霧子 WING
誰からにしようかなって思って、持ってたSSR確定チケットを引いて出てきた人からってことに決めた。それで横断歩道を渡る霧子が出てきて、霧子なら一番手になっても納得感が強かったからWINGを始めた。
個人的にWINGシナリオにはかなりの信頼を置いている。その子に関する性格や感情なんかがギュッと詰まってて、丹念に読み込めばその後の情報で明らかになるのを待たずともアイドルのことをよく知れるとさえ思っている。
のだけど、霧子のWINGは妙に難しい。包帯や絆創膏は本人から言わせれば、悪いところを隠せるから安心につながるということで、いつかはそこに隠している不安や自信のない姿も見せたいなんてことを後半で言ったりしている。
そこだけを見れば、不安で誰にも見つからないようにしたいと願いながらも見つけてほしいという気持ちを抱えている女の子ということになってしまいそうなのだけど、たくさんの霧子を見てきた今の僕の目にはそういう紹介は決して霧子を言い当てていないように見える。
霧子の包帯の下に隠してあるのは不安なんだろうか。というよりも「隠してある」でいいのだろうか。なんとなく「しまってある」とも言いたくなる。霧子がその繊細な感性で何かを捉えていると思いたくなるのは、しかし今の自分であって、WINGシナリオ中ではあまりそういった様子は見られない。だとしたらWINGにはギュッと詰まってるという見立ては揺らぐのか。いやしかし、そこにいるのは紛れもなく霧子であって……
後に見ることになる「キリちゃん」などが登場するあの頃の霧子とWINGの霧子はつながっているはずなのに、僕は霧子の包帯の下にあるもののことをよく知らないまま、霧子は繊細な感性の持ち主だなんて知ったかぶっている。
霧子のこと、もっと教えてくれないか────
咲耶 STEP
ずっと見たいと思っていて機会を逸し続けていた。実は今回が初見。
けっこうしっかり泣いてしまった。今までも咲耶の両親が他界していることは仄めかされていて、僕の持ってるPカードを読む限り明言まではしていなかったのだけど、曖昧になっていたことが前提になって過去の咲耶が描かれていた。
STEPで明言されたことは聞き及んでいたのだけれど、個人的には曖昧にしておいて欲しい気持ちが少なからずあって、なかなか見るに至らなかった。両親がいないということに情報として旨味が出てしまうのが嫌だったのかもしれない。
でも、いざ蓋を開けてみれば、すごくきちんと向き合っている印象を受けた。両親が(特にしばらく二人で暮らした父が)亡くなったことはドラマチックに描かれていなくて、時間が経過してとっくに受け入れている咲耶が今現在を生きているというところから振り返った過去だと思った。寂しい、けれど落ち込んではいない。そういう温度感。
咲耶は寂しがりやで人と繋がることを夢見てモデルになったのに、下手に真面目なものだからクール系の王子様としての期待に応えて、かえって人と接することができないジレンマを抱えていた。このことは言わずもがな分かっていて、だからアンティーカのみんなと一緒にいられて嬉しそうな咲耶を見るのが僕としても嬉しかったりしたのだけど、それほど人恋しくてたまらない咲耶が独りの寂しさをどうやってしのいできたのか、僕はしっかり考えたことがなかったらしい。ごめんね……
咲耶がスカウトに一瞬で承諾したのも奇妙だったのだけれど、咲耶はずっと機会をうかがっていたんだった。そしてモデルを辞めるということについて誠実に考えるよう促し、最終的な決断の背中を押してくれたのは、亡き母が当時存命だった父に託した言葉であり、父の思いを乗せて咲耶に託された言葉であった。
両親の死を乗り越えて今がある、のではない。両親の思いを受け取って今の咲耶が幸せに生きている。過去を無かったことにしていない。これってとても祝福すべきことじゃない?
咲耶がレッスン室でプロデューサーと話すとき「もっと違う私も見てもらいたくて」と言っていた。プロデューサーが「もちろん」と応えると咲耶は戸惑った。今までなら確実に否定されていた願いだったからこそ、そんなにあっさり肯定してもらえるとは思っていなかったのだろう。咲耶の戸惑いにおそらくプロデューサーは気づいていない。人の発言の裏には、時に驚くほど多く文脈が乗っかっていて、だけどそんなことは外見的に分からなかったりもする。人の過去を知るっていうのは、ともすれば不躾になりかねないのだけれど、慎重に進めれば相手の真意を汲む手助けになる方向に働くものでもあって、今日、咲耶のことがもっと好きになった。