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急に具合が悪くなる

quietsun
·
公開:2026/7/30

※本文は映画「急に具合が悪くなる」のネタバレを含みます。


映画「急に具合が悪くなる」の半券

この度、映画「急に具合が悪くなる」を観に行って来ました。結論から言うと、かなり刺さった映画でした。

まず、この映画のトピックといえばなんといっても「長い」ということです。136分、国宝やエンドゲームより長くサタンタンゴの3割ほどの長さという長丁場でしたが、お世辞にもあっという間とは言えないながらもそこまで長く感じませんでした。動きのあるシーンもほとんどなく、全体的にゆったりした映画でしたが退屈させないのはウデかもしれません。

内容を一言で言えば「資本主義の限界とケアの倫理」という感じでしょうか。マックス・ヴェーバーぽくなってしまいましたが、とにかく理想の介護やケアを行う上でぶち当たる壁はカネであるということをしつこく描いている作品です。日本でもフランスでも、介護業界に金と人が足りないのは同じなんだなぁと思いました。

曲がりなりにも介護に携わっている人間としては、かなり刺さるものがあります。というか、介護業界にいる人間は全員、その力が作用する方向に違いはあるものの心を動かされる映画ではないでしょうか。

理想の支援とはなんなのかを考えます。本当にお金がなければ解決出来ないのでしょうか?お金ではなく心、というのはただの綺麗事ですが、ぼくは常日頃から綺麗事と本質情報というのは紙一重だと考えています。映画の中では資本主義そのものの構造を変えなければいけないと結論付けられていました。

構造をブチ壊そうとするプロレタリアートという構図は介護を描く視点として凡庸かもしれませんが、その矛先が直接資本主義に向いていることがこの映画の本質かもしれません。

もう一つ、この映画の軸としては「身体接触」が貫かれているのかなと思います。マッサージや歩行介助、視線を合わせることなど、相手への接触や干渉においては強い意思をこの映画からは感じました。作り手が伝えたいメッセージが強い存在感を放っている映画は、おしなべて良い映画であるものです。

一方、これは完全に好みの問題ですが、映画全体を包んでいる空気感に邦画特有の湿っぽさを感じてしまい、ずっと若干の気持ち悪さを感じていました。「余命宣告」というキーワードもその空気形成に一役買っていたのかもしれません。これに関しては原作からの踏襲ですし、急に具合が悪くなる、ということの本質なので完全に仕方のないことです。

あと、監督が日本人であるにもかかわらず、この映画で描かれる日本があまりにも海外から観た日本すぎるな、というのも気になりました。なんかヴィム・ヴェンダース臭を感じます。これはおそらく監督が意図的にやっているのでしょうが、ちょっとノイズとして気になってしまうレベルに感じました。フランスの描かれ方についてはフランスに行ったこともないし文化に詳しくもないのでよくわかりませんが。

一番意味がわからなかったのが、唐突にホワイトボードで講義が始まるシーンです。資本主義の構造を説明するにしても、もうちょい他の方法があったんじゃないかと思います。あれは本当に何???あとどうでもいいですが、ペンの持ち方も独特すぎて気になってしまいました。

こうして振り返ってみると、良い映画体験だったなと思います。この映画から感じたことはいろいろとありましたが、良いことも悪いことも全てひっくるめて自分の成長に繋がる栄養素を取り込めたような気がします。少なくとも介護職、福祉職、ケアに携わる人間は観て損はない映画だと思います。自分の仕事について考え直すきっかけとしては最高なのではないでしょうか。

あと介護職と看護職の対立というか、空気感がかなりリアルでよかったです。それもステレオタイプすぎると言われると確かにそうですが、あの気まずさは世界中で起こっているんだなと考えると面白いですね。

大戸屋のチキン南蛮定食

帰りは宮益坂の大戸屋で夕飯を喰らいました。東京に来たときは必ず大戸屋・てんや・いろり庵きらくのどこかには行ってしまいます。特に大戸屋は出先で見つけると大体入ってしまいます。近所に出来ないかなぁ。

@quietsun
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