でも、わたしは多くは望まなかったし、あの人や他の者の前でそれを表に出すようなことは決してなかった。あの時の自分を褒めてあげたいわ。なんて上手に押し隠していたのかしら。
わたしがあの人に感情を吐き出したのはたったの一度だけ。
いいえ、大丈夫よ、自分の気持ちを悟られるようなことはしなかった。あの人にぶつけたかったのは怒りだったのだから。
「どうして何を言われても黙っているの?」
あの人はちょっと驚いたような顔をした。わたしが急に怒りだしたように見えたのでしょうね。
でも、わたしにとっては急ではなかったのよ。いい加減に苛立っていたから。あの人が世間の言うことをあまりにも気にしなさすぎることに。
あの人が世を去った後に言われていたようなことは、当時すでに囁かれていたのよ。もちろん大きな声で言う者はいなかったけれど。
王位につくためにふたりの甥たちを亡き者にした。
男児を産めない王妃を見限って毒殺した。
その後に実の姪に近親婚を迫った。
「どうして否定しないの? どうして反論しないの? 本当のこととは違うことばかり言われているのに」