「わたしの務めはこの国に仕えることであって、仕えたことで人々に賞賛されることではない。わたしがきみの弟たちをどう遇したか、アンにどのように接したかは、国の益に何の関係もないことだ」
「でも――聞いていられない」
わたしは幼い子どものように地団駄を踏みそうになった。
「叔父さまがそうやってこの国のためにいつも熱心に働いているのを、わたしは知っているもの。弟たちにとても親切なことも、アン王妃とのことも知っている。それなのに、世間がまったく違うことを言いふらしているのを、黙って聞いていなければならないの?」
このころ、ヘンリー・テューダー、つまりわたしの当時の婚約者にして今の夫は、イングランドに侵攻するためにフランスで力を集めていた。国王側の勝利は絶望的というほどではなかったけれど、必ずしも信用できない貴族たちもいて、あの人の王位は決して盤石ではなかった。
そんな時に、根も葉もない噂で評判を落とすことがどんな影響をもたらすか、わたしはそれこそをあの人に説くべきだったのに。当時のわたしは自分のことで頭がいっぱいだった。
あの人が今度の戦で命と王位を失うようなことがあったら、わたしは未来永劫、あの人が悪しざまに言われるのを聞き続けなければならない。そんなことには耐えられそうになかった。