王妃の話9

木津川結
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「宮廷にお呼びいただき、ありがとうございます、陛下」

 わたしはあの人の前に出ると、うやうやしく膝を折った。

 あの人は自分の他には従者と衛兵しかいない部屋でわたしを迎え入れた。わたしが宮廷に来たのはあの人と母の和解の証としてだったのだから、もっと人の多いところでわたしを歓迎して見せれば良かったのにね。

@quitecontrary
小説の下書きのようなもの lit.link/kizugawayui