わたしが十七歳のとき、その日はやってきた。父が亡くなったのよ。
あっけない最期だった。何度も戦場に出て危機を乗り越えてきた人が、病床についてわずか数日で息を引き取った。
わたしは悲しいというより、それが現実のことだと思えなかった。あんなに強くて、美しくて、明るかった人が、今は冷たくなって棺に横たわっているなんて。
それでも時間は容赦なく流れていった。父が亡くなったほんの数日後、母が言ったの。
「また聖域に行くから、荷物をまとめなさい。妹たちにもそうするよう言いなさい」
わたしはわけがわからなかった。だって、ランカスター派はもうイングランドにいないはずよ。父は世を去ったけれど、その後を継ぐ弟のエドワードがいる。ヨーク家の王位は盤石のはずなのに、母はいったい誰と戦おうとしているの。