メンタルクリニックへ行った話(読むのは自己責任でお願いします!!)

暮田
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公開:2025/12/8

※自殺、死、等のワード・話があります。嫌な予感がする方は読まないでください。

11月も終わりかけのころ、朝からしんどかったことを無視して仕事に行き、見事体調を崩した。言いわけさせてもらうと、リズムが合ってないだけで社会的に過ごしていれば楽になっていくしんどさがあるのだ。それを見誤ったということにしておいてほしい。帰宅した次の日はずっとベッドに引きこもり、一日で仕事に行けるまで回復したのだが、どうもメンタルの調子がおかしい。いつもどおりの仕事をこなしているのにとてつもなくしんどく、人と会話するのにも疲れる。かと思えば急に楽になったりして、必要以上に喋ってしまう。あ、やばいぞこれは、と思い立ちメンタルクリニックへ電話。発信して約0.03秒、繋がる。その本気さに、ほんとうにやばい話かもしれないと焦り出す。無事に予約を取り、当日。暖色の部屋、暖房完備、不安にさせまいという清潔感あふれるクリニックに、感心し不安になる。初診の問診票に個人情報や病歴を記入していく。簡単な質問一覧に、自殺、死、死にたい、などのワードがさらりと書いてあるため、読んでいるだけで苦しくなり、涙が出る。最後に来院理由、つまり現在悩んでいることを書いた。「今の自分の状態を教えてほしい。漠然と死にたいという気持ちはずっとある。自殺を実行したことは一度もない」そんな感じ。それを提出して少し待つと、あらかじめ発行した番号がモニタ上に映し出され、診察室へと誘われる。スタッフの方も何も言わないしまあ行っていいんだよな、と思いながら、これまた清潔な白い扉をノック、ノック、ノック。ゆっくりと扉を開けると、モニタを前にした院長と患者用の椅子と、そのほか必要最低限のものしか置いていない超絶シンプルな部屋が目に飛び込む。余計な情報が何もない、混乱を招かないような配置に、薄寒さを覚える。挨拶をして座ったとたん、院長がわたしが先ほど書いた来院理由を読み上げる。死にたいと思っているのはいつからか、何か理由があるのか、そういった質問から今の生活についての質問をいくつか並べられ、淡々としたまるで作業のような態度にちょっと戸惑う。ぶっちゃけロボットみたいだった。でも、共感なぞしようものなら、あっという間に患者になってしまうのだろう。わたしはいろいろと言葉をこぼしながら同時に涙もこぼしていたのだが、患者が泣き出すなど当たり前のように態度が一定だったので、こちらもどうして泣いているのかわからなくなり、ついぞ冷静になった。そして、今の状態を知りたいと言ったわたしに、院長はこう言った。話を聞いているかぎり、発達系の障害を持ったひとの発言に近い。いわゆる、発達障害です、と。発達障害、という言葉を聞いた瞬間、わたしは身体を撃ち抜かれたような衝撃を感じるとともに、そもそもその銃弾が通るような穴がすでに身体に開いていて、ぎりぎりの弾がきれいに通っていった神技を見た気持ちになった。生きる中でまとわりついていた違和感が、辞書を引いてぴったりな言葉を見つけたときのようにうつくしく収まってしまったのだ。わたしは混乱、あるいは高揚しながら礼を言い、採血ルームへ行き、実のなる木を自由に書かされ、横たわりながら血を解放し、礼を言い、気分を落ち着かせる漢方を処方してもらって、礼を言い、クリニックを後にした。人生で初めてもらった漢方は仕方なくどうにか飲める味で、ポケモンによくわからずに漢方を飲ませていた小学生くらいの自分を責めたくなった。現在はその漢方を飲みながら生活している。正直効果があるのかよくわからないが、気休めにはなっている。高校生のころ、同級生が薬を何個か飲んでいるのを見たとき、何も飲まずに平気で生きていられる自分の健康さが誇らしかったものだが、何も知らずに平然と生きていただけだった。個性として見られていた異常性が、名前を持っているかもしれない。発達障害のテストは約1ヶ月後。2時間あるらしい。内容を調べようかと思ったが、何も知らないほうが確実におもしろいのでそのままにしておく。25歳になったら記念として人間ドッグを受けようと思っていたのだが、その前に初メンタルクリニックの実績を解除、さらには人生が転換することになりそうだ。25年生きてきて、自分についてまだ知らないことがあるなんて、おもしろすぎる。今までの人生が1クール目だとしたら、これからは2クール目だ。監督も制作会社も変わって神コンテンツになるか紙コンテンツになるか、どちらにしろ、愛すべきものになったらいいな、と思う。