2024年を迎えて

くぜ
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夫の実家は白味噌のお雑煮だが、わたしの実家はそうではない。わたしが作った白味噌味ではないお雑煮を文句も言わずに食べ、それっぽく並べた(重箱に入っていない)おせち料理を見て「すごい豪華だな~」と夫は言う。

今年も例年通りの正月を迎えた。

遅く起きてニューイヤー駅伝を見て、明日と明後日は箱根駅伝を見る。我が家ではこれが定番の正月となっている。新型コロナ以降、三が日の間に初詣に行くことはなくなった。

孤独のグルメを見ていると早々に脱おせちをしたくなるのはなぜだろう。普段はバラエティ番組もドラマもほとんど見ないくせに、正月だけはテレビをつけてしまう。正月は非日常の代名詞のような存在だ。

「うわ、まじでうまい! やったぁ!」

豚のすき焼きを食べた井之頭氏が心の中で言った。美味しいものを食べると人は感嘆の声を上げる。真剣な顔をして食に向き合いながら、まるで子どものように無邪気になれるのだ。人の食べる姿を好んで眺めることはないが、井之頭氏の食べっぷりは不思議なことに見ていて気持ちがいい。

わたしはおせち料理に対して特別な感情を抱いているわけではないが、正月価格になった蒲鉾に対してだけは寛容になれない。年末、スーパーにできた特設コーナーの前で需要と供給を見せつけられる。きっと、こうして商売は成り立っているのだ。

これを書いている途中に緊急地震速報が出た。NHKアナウンサーの鬼気迫る声が耳に残っている。2024年は忘れられない正月になることが確定した。

わたしは例年通り箱根駅伝を見るのだろうか。今日は落ち着かない気持ちのまま眠りにつくことになるだろう。