とあるSNSを教えてもらい、登録した。一次創作に特化した場所。
二次創作活動が多かった自分だが、オリジナルイラストに注力し始めた頃だったので思い切って飛び込んだ。
擬人化や創作企画など触れてこなかった文化が沢山あり興味深いとともに、少しばかりの場違い感を感じていた。
版権作品に乗っかっておふざけしたりカップリングしたりしていた私は自分で一から創ることをほぼ忘れていた。版権作品だって一次創作。その素晴らしさを知ってるはずなのに。
タイムラインには魅力的なオリジナル漫画や凝ったイラスト、深い設定の小説、ずっと聴いていたい音楽が流れてくる。自分は誰かの真似をした上っ面しかない絵を描くだけ。なんとなく寂しいものを感じ、自分も何か創作できないものかと考えたとき、ふと思い出した。10年くらい前、仕事、家事、育児に忙殺されて何も手につかなかった時期に思いついていたお話の切れ端。
「子を亡くした男が、妖怪の少女に救われる話」
混沌とした時期だったのでキャラクターもハッキリせず、なんとなく良いなと思っていただけだったのだが、10年も覚えていたということは自分にとって結構インパクトがあったんだろう。
こんな話考えたことがあると、タイムラインに何気なくつぶやいた記事に反応が付いた。じゃあキャラクター作ってみよう。そしてらくがきを描いてみた。キツネの耳がついた少女とサラリーマン風の男のイラスト。形にしたら何かが動き出した。
キャラクターが頭の中で動き回る。名前を決め、ふんわりしてるが設定も少しできた。動いてるものを出力したくなった。漫画を描いてみるか、となった。
雰囲気だけ楽しもうと、完結など何も考えず始めたラフ漫画だったのが、少しずつ描き込むようになり、50ページ近くまできてしまった。今や昔途中で投げ出してしまった漫画のリベンジのように最後を目指して呻きながら亀の歩みで描いている。
SNSでこうも生活が変わるとは。みんなの反応でどんどんと、いざなわれるように創作が深まって、ついに自分のキャラクターに頭を占拠され、「自創作にくるう」ところまで行き着いてしまった。
こんな歳で一度は諦めた漫画を再開して、さらに深みにはまるなんて思いもしなかった。
新しい世界はきっとまだまだあちこちに転がってるんだな。