小さい頃とても古い団地に住んでいて新しいものに憧れていたせいか、新しい建物が好きだ。もちろん、伝統ある百貨店のビルや公会堂などそう言った建築も好きなのだが、新しいものの清潔感やワクワク感が好きだった。
今日出かけた先に、昔よく行った商業施設の跡地があった。今は駐車場になっていて、新しい施設になる計画もある。取り壊し前、陸橋の途中からその商業施設には通路があった。それは根本からなくなり、仮組みの鉄パイプで塞がれた前に幕が張ってある。
新しい施設の計画を聞いた時にはとてもワクワクした。取り壊された商業施設はとても古く、エレベーターのドアなど開くスイッチを押していないと即人間が挟まれる始末であった。
でも今日、その陸橋の通路と建物が無くなっているのを目の当たりにして悲しさしか出てこなかった。ワクワクはどこに行ったのだろう。
その施設の中で体験した出来事が次々浮かぶ。子供が小さい頃、時々買い物に連れてきて、おもちゃ売り場で動かなくなって、そうそう買うわけにいかないので飽きるまで付き合ったり、ゲームコーナーで一緒に遊んだり、もっと小さい頃にはエレベーターのない階段を店員さんがわざわざベビーカーのために裏の作業用昇降機を動かしてくれたり。たくさん思い出した。
無くなっていくもの。そこで起こった出来事とそこにいた人々のことを思い返して感傷に浸りながらも、生まれてくるものには目一杯の拍手を送りたい。
新しい商業施設が出来たら、面倒くさがる自分より大きくなった子供を引っ張って、買い物に付き合ってもらおうかと思う。無理かもだけど。