みんな夢を叶えている

池田大輝
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公開:2026/6/21

小説家になりたくて小説を書いている人は、小説家になるという夢をすでに叶えている。新人賞に受かるかどうか、商業出版されるかどうかは小説家になることとは関係がない。商業作家としてデビューしなければ意味がないというのなら、自分で出版社を立ち上げるのがいちばん確実だと思う。どうしても新人賞で受賞して小説家デビューすることが夢だと言い張るのなら、受かるような小説をなんとかして書くしかなく、それは本質的にはギャンブルと変わらない。

他人に認められるという一点を除けば、叶えたい夢のほとんどは叶えられる時代である。世界中の好きな場所に行けるし、推しにも簡単に会うことができる。イラストを描く道具は揃っているし、歌って踊って世界中に配信することもできる。

他人に認められることを夢と結びつける限り、その夢は基本的には叶わないといえる。そもそも、「認められる」とはなんだろうか? 小説家志望の若者が私の前にやってきて「小説家になることを認めてください」と言ったとする。私が「認めます」と言えば、その若者は小説家になったことになるのだろうか? 私が出版社の社員なら良いのか?

夢は少しずつ叶うものである。フランスに旅行したいという夢は、飛行機がフランスの領空に侵入した瞬間に叶うわけではない。フランスに旅行したいと思った瞬間から夢は始まっている。フランスについて調べ、お金を貯め、航空券とホテルを予約し、空港まで電車で移動し、飛行機に乗り込み、フランスの国土に降り立つ。そのすべてが夢を叶える過程であり、その過程にいる間、夢を叶え続けている。夢が100%叶うことはない。どんな小説家も完璧な小説を書くことはできない。完璧なものが書けたというのなら、その人は小説家に向いていない。読者は完璧な小説を読みたいわけではないからだ。

夢の途中に確率的な要素は存在する。でも、そこで失敗したからといって、70%まで叶えた夢が0%になるわけではない。犯罪でも犯さない限り、70%は維持される。それは決して悪いものではない。夢の70%を叶えた状態は、かなり恵まれているといえる。それに、夢の達成度を気にしても基本的には意味がない。研究と同じで、夢に終わりはない。夢を叶えれば叶えるほど、その先の世界は広く広がる。つまり、夢の達成度はどこまで行ってもほぼ0%であり、あとはその状態を楽しめるかどうか、というだけの話である。

@radish2951
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