ポケモンの声について

池田大輝
·
公開:2025/9/4

小学生の頃、『ポケモンコロシアム』というゲームを買ってもらった。ゲームキューブのソフトである。このゲームについて話したことはないし、話している人を見たこともないから、かなりマイナーなのかな、と思って調べたら、日本だけでも70万本売れたらしい。普通のポケモンのゲームとは異なり、ややアングラな雰囲気の漂う、風変わりなゲームだった。

小学生だった私は、このゲームが欲しくてたまらなかった。それまでも、青とかクリスタルとかサファイアをプレイしていたのだけれど、『ポケモンコロシアム』は、私の中では完全に別枠だった。その理由のひとつに、ポケモンの「声」がある。

『ポケモンコロシアム』の情報が出たとき、公式サイトには「ポケモンの声はアニメと同じ」と書かれていた。と、私は記憶しているのだけれど、事実としてはそうではなかったから、私の思い違いか、記述ミスのどちらかなのだろう。とにかく、アニメと同じ声でポケモンのゲームができることが楽しみで仕方がなかった。アニメの声とは、たとえば、ピカチュウの「ピッピカチュウ」である(オーキド博士のセリフだっけ?)。蓋を開けてみると、『ポケモンコロシアム』にアニメのポケモンの声は実装されておらず、それ以前と同じような、機械的な声だった。冷静に考えてみれば、すべてのポケモンにアニメと同じ声を実装するのはかなり難しいだろう。そもそもアニメに登場していないポケモンも多い。ボイスの収録も大変そうだ。最近のポケモンはどうなんだろう? ものすごく数が増えたから、全ポケモンフルボイス化はまず無理だと思う。ポケモントレーナーのフルボイスでも、結構大変なのではないか。

昨年末にリリースした恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』で全編フルボイスを実装した。総勢9名の声優さんにご出演いただいた。『C.V. 私と私の中の人 The Fourth Insider』では宮白桃子さんに複数のキャラを演じていただいた。声に対するこだわりはそれなりにある。と、思っていたけれど、まさか小学生の頃から、ゲームを買う理由が「声」だったとは。その割には、特に声優ファンとかではなかったことも含めて、我ながら不思議だなと思う。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink