新海誠という名前は、ランダムな3文字よりも遥かに多くの情報を持っている。雲、光、雨、桜、声、恋。いろんな情景がその名前に凝縮されている。有名になるとは、名前がより多くの情報を持つことである。人生を歩めば歩むほど、名前に情報が蓄積されていく。そのためには、名前と情報が結びつかなければならない。会社員をしていると、名前が会社の外に出ることは基本的にはない。実績を積んだとしても、会社の中でしか有名になれない。社長の多くが有名人でないのはこれが理由。クリエイターであれば、作品が名前を育てていく。作品を出し続けることと同じくらい、名前が作品の横に置かれることは大事である。名義を頻繁に変えたり、多くの名義を持つことは一般に不利だ。あえて名義を変えても特定されるくらい熱心なファンがいるなら話は別かもしれないけれど。とにかく、名前を変えないことと、名前を出し続けること。名前を覚えてもらうというより、名前でしか覚えてもらえないといえる。名前はその人を一意に特定するキーのようなものだ。それを呪いと捉えるか祝福と捉えるかは人に依るだろう。いずれにせよ、名前から逃れることはできない。自分から逃れることができないのと同じくらい不可避である。あるいは、言い換えれば、自分から逃れる方法があるとすれば、同じやり方で名前からも自由になれるかもしれない。創作は、その方法のひとつだと思っている。
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