ほとんどの問題は、時間によってしか解決されないのではないか、と、結構昔から思っていて、それが、おそらく、正しいのだろうと確信しつつある。時の流れに身を任せ、果報は寝て待て、といったことわざ（前者はことわざじゃない？）も、その直感を裏付ける。
とにかく、なにをやるにも時間のかかる人間である。エッセィを毎日書いているのは、その端的な例だ。ひとつのエッセィを書いて、大人気になることは私にはできない。たまに、noteがものすごくバズっている人を見ると、すごいなあ、と素直に思う。私には、ひっくり返ってもできる気がしない。だから、時間を味方につけることにした。毎日、少しずつ、エッセィを書く。ひとつひとつは、取るに足らない、些細なものである。ひとつのエッセィでバズろうなんて、最初から考えていない。そうではなくて、続けるのだ。少しずつでも続ければ、目に留まる回数が増えていく。読んでくれる人も増えていく。池田大輝という名前を、目にする回数が増えていく。その量は、時間に比例する。つまり、続ければ続けるほど、その積み重ねが効果を発揮するポテンシャルが高まっていく。
宝くじみたいなギャンブルは、時間に依存しない例外的な仕組みだ。続けても、蓄積になるどころか、長い目ではマイナスになることが確定している。続ければ続けるほど赤字になる。つまり、運営側の視点に立てば、ギャンブルほど手堅い商売はない、といえる。
時間が経つということは、その間に、なんらかの変化が生じたということだ。山を登るのにかかった時間で、あなたは山の頂上に近づく。よほど見当違いなことをしない限り、時間が経てば、望む方向に近づいていくことができる。星や神様に願い事をするのは、短期的に見れば無意味な行為に見えるかもしれないけれど、進むべき方向をたしかめられるという意味では、案外、有効なのかもしれない。会いたい人に会えない時間も、同じ理屈で、決して無駄ではないのだろう。