いつか暇になったら、カフェをつくってみたい。小さいカフェ。メニューは少ない。コーヒーとカフェラテと、甘い飲み物を少し。あとは軽食。
最近、コーヒー好きの友人にコーヒーを布教されている。シングルオリジン、つまりブレンドではなく、単一の産地から採れたコーヒー豆を買って飲んでいる。お店で挽いてもらった豆を、ハンドドリップで淹れている。コーヒーの淹れ方にはコツがある。お湯の温度ひとつとってみても、コーヒーの風味は変わるらしい。まだそこまでの違いはわからないけれど、自分で淹れたコーヒーはどこか特別な香りがする。
カフェをつくるなら、しずかな場所が良い。音楽を流すかどうかは悩ましい。理想は、小鳥のさえずりが聞こえてくるような、森の中にあるカフェ。ざわざわとした風の音が、天然のBGMになる。あるいは、アンビエントな音楽を流すのも良い。ゲームの曲を書いてくださっている籾山さんにお願いしようかな。
コーヒーの香りにこだわることと、音にこだわることは似ている。コーヒーはしずかな香りがする。控えめでありながら、空気に溶けるような香り。美味しいコーヒーを飲んでいると、世界に溶けているような気分になる。
しずかな場所が好きだ。それは音がないという意味ではない。しずかな場所にも音はある。しずかな場所でなければ、誰も気づかないような音。じっと耳を澄ませなければ、届かなかったはずの声。コーヒーの香りも似ている。地図に載っていない森の奥で、あなたのお越しをお待ちしています。