「作者の気持ちを答えよ」なんて問題、あった?

池田大輝
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公開:2025/9/3

私が国語が苦手だっただけかもしれないけれど、巷でしばしば話題になる「作者の気持ちを答えよ」という問題を、国語のテストで解いた記憶がない。そんな問題、あったかな?

ぱっと思い出せるのは、「傍線部を言い換えた表現を本文中から抜粋せよ」という問題。これは文章を理解せずとも機械的に解けるから、得意だった。「本文中の言葉を用いて書け」とか「〇文字以内で書け」というバリエーションもあった。自由記述に近づくほど苦手だった。

作者の気持ちではなく、キャラクターの心情を答えさせる問題ならあったと思う。これは恐ろしく苦手だった。どちらかといえば、論説文のほうが機械的に解きやすい。小説というものを、どう読めば良いか全くわからなかった。

国語が得意な人は、みんな口を揃えて「答えは本文に書いてある」と言う。私には一生理解できる気がしない。論説文ならいざ知らず、小説でそれを言われても、と思う。けれど、軽々と満点を取る人はたしかにいる。にわかには信じがたい話だ。

数学の場合、答えが問題文に書かれていることはない。与えられた材料から出発して、推論を重ねることで答えに辿り着く。数学は、基本的には地道な試行錯誤でしか解けない。いろいろ試してみた結果、手がかりのようなものがやっと得られる。ただし、テストの時間は限られているから、問題文が誘導してくれることも多い。天才と呼ばれる人は、試行錯誤をショートカットできるのだろう。天才から見れば、数学の問題も、答えは問題文に書かれているのかもしれない。

今なら国語が少しは解けるだろうか。曲がりなりにも恋愛ゲーム作家であるし、お仕事でシナリオを書かせていただいたこともある。毎日こうしてエッセィを書いているのも、文章の基礎体力を鍛える目的がゼロではない。共通テストの国語を解いてみようか、と毎年思うけれど、解いてみたことは一度もない。解いてみて、間違えまくっていたら、さすがにショックだからかもしれない。せめて高校時代よりは解けるようになっていてほしい。

以上の文章を読み、次の問に答えよ。

問:この文章は誰に向けて書いたものか。(ヒント:答えは本文中にはない)

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink