結婚相手に求める条件

池田大輝
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公開:2025/5/3

大きく分けて二つある。一緒に生活していて苦痛じゃないことと、お互いに「ピンとくる」ことだ。

まず、一緒に生活していて苦痛じゃない、というのは、私に限らず多くのカップルでいえることだと思う。互いを尊重し助け合うのは当然として、そういう努力だけではどうしようもないこともある。よく聞くのは、音のトラブルだ。スリッパで歩く音が不快でしょうがないという話は何度も耳にする。これは、どちらが悪いというよりも、相性の問題でしかないと思う。私は音に敏感な体質だから、スリッパの音が嫌な気持ちはよくわかる。過去にも、音が無理で会社やバイトを辞めたことが何度かある。不快な音は本当に耐え難いのだ。これは、好きとか嫌いとかの遥か手前の話だ。もちろん、相手にとっても、そういう「生理的なボーダーライン」がきっとあるだろう。そこをお互いクリアしていることが最低条件だと思う。

その上で、お互いに「ピンとくる」かどうか。ピンとくるというのは、それ以上説明のしようがない。顔が良い、声が良い、面白い、なんか好き。なんでもいいけれど、とにかくピンとこなければ、絶対に結婚できない。そろそろ結婚しなきゃいけないから、という理由で妥協することは絶対にない。妥協、と書くと誤解されるかもしれない。どれだけハイスペックな人であったとしても、ピンとこなければ妥協である。妥協すればお互いに後悔する。どうせ結婚するなら幸せになりたい。

ピンとくる確率はきわめて低い。結婚できれば誰でもいいわけじゃない。しかも、これは双方向の問題だ。一方がピンときても、もう一方がピンとこなければ結婚できない。きわめて低い確率同士の掛け算は、きわめて、きわめて低い確率になる。

と、考えると、世の中の少なくない数の人たちがぽんぽん結婚していることが、にわかには信じ難い。想像するに、そこまで難しく考えていないのだろう。そうやって結婚できることはある意味羨ましい。皮肉ではない。本当に、羨ましい。などと、わざわざエッセィに書いてしまう程度には拗れた人間である。こんな私にピンとくる聖人が果たしているのか。まあ、とはいえ、似たようなことを思っている人は少数派かもしれないが、数はそれなりにいるだろう。1万人に1人であっても日本には1万人以上いる計算になる。似たようなことを思っている人と結婚するとも限らないのだけれど。

ちなみに、ここまで読んだ人って、私にそれなりに興味があるのだろうか? でなければ、わざわざ最後まで読まないはず。そもそも、このエッセィを開いた時点で、ちょっと、あれである。もしかしたら、あなたと結婚するのかもしれませんね。ドキッとした? 私もです。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。エッセィを毎日更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink