私が過去に勤めていた日本ファルコムというゲーム会社は、作品の規模に対して、従業員数がかなり少ない。たしか、60人くらいだったと思う。それでいて、ほとんど外注をしない。ゲーム開発のほとんどを、社内のスタッフだけで回している。
一般に、ゲーム業界において、内製開発で完結することは珍しい。ゲーム業界の派遣、フリーランスの仕事は探せばいくらでもある。私もそのような仕事をしたことがある。一方、ファルコムの求人は、公式サイト以外で見たことがない。公式サイトで通年採用をしている。新卒と中途の区別はない。募集要項に従って書類を送れば、誰でも選考を受けることができる。そのように集められた精鋭によって、ゲームがつくられている。
このようなファルコム的な体制を、私は理想のひとつに掲げている。どうも、外注というものが私は苦手らしい。やるべきことの一部を、「外部」の誰かにお願いする。これが苦手なせいで、長らく一人で創作活動を続けてきた。けれど、外注が苦手なだけで、一人でやりたいとは思わない。チームと呼べる「箱」があれば、そのメンバーに仕事をお願いすることはできる。それが「外部」になった途端、やり方がわからなくなるのだ。
外と内の区別というものが、きっと私にはないのだと思う。私と関わりのある人は全員、多かれ少なかれ仲間であると、心が勝手に思っている。もちろん、相手から見ればそうとも限らないということは、理性がちゃんと理解している。だから、この人は外部の人だ、と認識するために、それなりのエネルギーを消費する。正直、めんどくさい。全員、仲間であるほうが楽だ。というわけで、長い目で見れば、そのような方向に向かっていくことになると思う。ファルコムを受けて落ちた人の話を何度か聞いたことがある。結構、狭き門らしい。さて、うちはどうなるかな。今はまだ、入りやすい、かも。