たぶん、発達が遅いほうだと思う

池田大輝
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公開:2025/3/26

小学生くらいの頃から、まわりが大人っぽく見えていた。みんな、社会のことをよく知っているなと感心していた。社会というものが全く理解できなかったし、理解できないものには馴染めなかった。その感覚は大学生になっても続いていた。バイトは、誰でもできるものだと思っていたけれど、違った。みんなが当たり前にやっていることができなかった。大学の試験に合格するよりも、働くことのほうが難しかった。社会人になってからもいくつかの仕事を経験して、同じような失敗をした。そして最近になって、ようやく、それを失敗と反省できる程度には成長した。

たぶん、ようやく、中学生くらいの精神年齢になったと思う。冗談ではない。冗談でそのようなことを言う人がいるけれど、これはガチだ。子供っぽい大人がSNSで袋叩きにされているのを見かけるたびに、胸が痛む。幼いことは、許されないことらしい。だから、子供も減っているのだろう。存在が許されないなら、生まれてこないほうがいいという、きわめて大人びた理屈である。

子供っぽいことは、自分ではどうしようもない。できるだけ迷惑をかけないように心がけてはいるけれど、それ以上はどうすることもできない。時間をかければ嫌でも大人になっていくわけだから、気長に待つしかない。それを受け入れろとか、認めてほしいと主張したいのではない。ただ、そのような人間がここに一人いる、という事実を書いている。

心の発達が遅いことは、悪いことばかりではない。先日リリースした恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』は、高校の写真部を舞台にした恋愛物語である。高校生って大人っぽいなあ、と、シナリオを書きながら思っていた。そのような子供っぽい生々しさは、私の作品の強みかもしれない。心が中学生なうちに、まだまだ書きたいものがたくさんある。いずれ、違う景色が見えてくると思うと、ゆっくり大人になるのも悪くない。

@radish2951
ゲーム作家。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink