愛する人の愛するものを愛せるか

あるいは、愛する人の愛するもののうち、ひとつでも愛せないのだとしたら、その人を愛する資格はないのだろうか？　しかし、たとえば、その意味でその人を「本当に」愛そうと思うのなら、その人の愛というものをもまた、同じようにたしかめなければならない。この愛が本当であるかをたしかめるために、その愛が本当であるかをたしかめなければならない。果たして、どうすれば、愛する人を本当に愛することができるのだろうか？　愛とは、あまりにも漠然としていて、不甲斐なく、頼りない。暗い雲で覆われているのか、それとも、澄んでいるせいで真っ暗なのか。同じ月を見られたら、こんな気持ちも要らないはずなのに。