ダークサイドに堕ちないために

池田大輝
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公開:2025/12/8

ふつうに生きているつもりでも、ある日、ふっ、と身体を持っていかれそうになることがある。それは本当に、ふとしたきっかけで。悪人になろうとして悪人になる人はいない。誰かを傷つけたくて傷つける人もいない。そんなことをしてはいけない。と、わかっていても、運命のいたずらは、人を簡単に狂わせてしまう。

いつ、堕ちるかなんてわからない。あるいは、もうすでに堕ちてしまっているのかもしれない。いま、この瞬間の生き様が、正しいとどうやって証明する? 必死に羽ばたいているつもりでも、そこはすでに地獄かもしれない。必死に羽ばたいたところで、もう、無駄かもしれない。あるいは、生きている限り、堕ちることからは逃れられないのかもしれない。地球上に生きている限り、重力からは逃れられないように。第二宇宙速度を超えて、重力から脱出しても、世界に地獄はひとつじゃない。あらゆる光と一緒に、ブラックホールに飲み込まれるかもしれない。ブラックホールに堕ちると、どうなるか知っている? YouTubeで、シミュレーションを見たことがある。堕ちている間は、堕ちていることに気付かない。気付いた頃には、バラバラになっている。

人はいずれ、バラバラになる。高く舞い上がれば舞い上がるほど、堕ちたときの衝撃は大きい。ゆるやかに堕ちることは、ある意味では美しく死ぬことに、そして、またある意味では、美しく生きることに等しいのかもしれない。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink