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チャンスの女神の前髪

池田大輝
·
公開:2026/9/6

チャンスの女神は前髪しかない、という言葉がある。前髪しかないから、こちらに向かってきたときに掴まなければならず、過ぎて行ったときには手遅れだ、という意味らしい。それはそうとして、なぜ、腕でも服でもなく前髪を掴むのか。人の前髪を掴むというのは、たとえその相手が神様だったとしても、相当に野蛮な行為である。つまり、チャンスを掴むという行為は、それくらいとんでもないことである。チャンスを掴みに行くことは、まわりから見れば、およそ理解し難い行為であって、誰もがやめておけと言うだろう。というか、誰かの助言を聞いているうちに、神様は通り過ぎてしまう。だから、やっぱり、思い切って掴むしかない。前髪を掴むという、およそ非常識な行為を、これが最後のチャンスだと思って、思い切るしかないのである。チャンスはチャンスには見えない。チャンスの女神を見抜く能力は才能だと思う。才能がないのなら、片っ端から人の前髪を掴みにいくくらいの覚悟が必要なのだろう。それくらい、大変なことなのだ。私は、自分で言うのもあれだけれど、直感は冴えているほうだと思う。これまでに出会った女神は多くないけれど、前髪を掴んだ割合は高い。もっとも、前髪を掴まれた本人は、自分を女神だと自覚していないかもしれないけれど。

@radish2951
恋愛ゲームをつくっています。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink