仕事のもらい方

池田大輝
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公開:2026/3/25

仕事は、仕事をする人のところへ来る。つまり、やりたい仕事があるのなら、先に仕事をやれば良い。ただし、一人では簡単に着手できない仕事もある。私は学生の頃、映画監督を目指していた。とはいえ、映画業界の門戸は狭く、簡単に監督にはなれない。だから仕方なく自分で映画を撮っていたのだけれど、映画を一本撮るのは大変で、もう少しなんとかならないかと悩んだ結果、恋愛ゲームをつくることにした。ゲームなら、機材やスタッフやロケ地を言い訳にせずに済む。そうしてゲームをつくり始めたのが2020年頃で、もう6年が経つ。

ゲームをつくったことで、当時は想像もしなかった仕事をすることになった。たとえば、恋愛ゲームのシナリオライターとか、政府系研究機関の研究員とか。少なくとも、映画の道だけを目指していたら、縁のなかった仕事だと思う。

やりたいと思っている仕事が本当にやりたい仕事かどうかは結構怪しい。カレーを食べたいと思っても、食べてみたらやっぱりラーメンが良かったかな、と後悔することはある。映画監督だって、その肩書を持つ人の多くは雇われ監督である。つまり、自分の撮りたい映画を撮るのではなく、すでに決まっている企画をうまく形にするための職人なのだ。映画の道にしがみつかなかったのは、そのような現実をなんとなく察したからかもしれない。

最近は、さっき書いた研究職と、ゲームクリエイターの二足のわらじである。いずれもやりたい仕事ではなかったけれど、結果的にそこそこ楽しめている。やりたい仕事があるのなら、それっぽいところに飛び込んでみるのが良いと思う。飛び込む先がなかったら、自分でやってみれば良い。違うなと思ったら場所を変えれば良い。少しずつ、心地よい場所へ近づいていけると思う。

あとは、珍しく実用的なアドバイスをすると、仕事の成果が対外的に残ることは重要だ。研究者なら、論文を書いた事実は永久に記録される。映画なら、クレジットに名前が載ることが次の仕事に繋がる。企業勤めのゲームクリエイターなんかは、会社に手厚く守られる代償に、名前を外に出しづらい。その点、今の私の環境は大変恵まれている。研究者としての実績も、ゲームクリエイターとしての仕事も、池田大輝という名前とともに残る。こうして日々エッセィを書いているのは、名前を露出する機会を増やすため、要するに撒き餌である。仕事は、仕事をする人のところへ来る。ただし、なんの仕事をしているのかよくわからない人は結構多い。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink