友達になるまで10年かかる

池田大輝
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公開:2025/11/14

今でも仲良くしている友達の顔を思い浮かべる。小学生の頃からの友達もいれば、大学からの人もいる。みんなそれぞれ、全然違う人たちだけれど、共通点があるとすれば、みんな友達になるまでに時間がかかった。

小学生からの友達は、当然、小学生の頃から仲良くしていた。ただ、当時は、友達のことを友達とは認識していなかった。友達という概念を、そもそも知らなかった。

高校生くらいになっても、友達を友達と呼ぶのは気恥ずかしかった。それは大学でも同じだった。気恥ずかしいというか、友達だと思って良いのだろうか、と、様子を窺っていたと言うべきかな。友達で、いいんだよね?と。

仕事をし始めて、友達とも会わなくなって、それでも、たまに会ってくれる人はいて、そんなふうにしているうちに、すっかり時間が経って、気づけばみんな、友達になっていた。ざっと、10年はかかったと思う。

大人になって、友達ができにくくなるのは、そう考えると当然だ。大人になって、まだ10年経っていないからだ。

私と知り合って10年未満の人は、少なくもこちらからは友達と呼べない。呼んではいけない気がするのだ。こんな私の心の扉をこじ開けて、いや、ちゃんと合鍵を持ってきてくれる友達には、本当に感謝しかない。あるいは、重そうに見えるこの鉄の扉は、適当な棒を鍵穴に突っ込めば、実は簡単に開くことが、友達にはもうバレているのかもしれない。

@radish2951
恋愛ゲーム作家。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink