他人に期待するな。人生に期待するな。
自分なりの人生を歩んでいる人はみんなそう言う。きっと正しい。期待せず、まわりに流されず、自分の立っている場所を客観的に把握して、一歩ずつ、できる限りのスピードで進んでいく。誰かに、人生に、神に期待したところで、見返りが得られる保証はどこにもない。だから、やっぱり、期待してはいけない。
と、わかっているはずなのに、期待してしまう。いつか良いことが起こるんじゃないか。運命の人に巡り会えるんじゃないか。驚くべきような幸運が舞い込んでくるんじゃないか。そういう根拠のない期待を抱いてしまう。
たぶん、無理なのだ。誰にも期待せず生きていくことは、少なくとも私にはできない。どうしても期待してしまう。それが良くないこととわかっているのに、まるでお腹が空くみたいな、ほとんど生理現象に近い。
でも、それはつまり、期待してしまう状態のほうが人間にとってはより自然でデフォルトである、ということでもあるだろう。昔から人間は天に、神に祈ってきた。祈りとは根拠のない期待だ。祈ったからといって好機が舞い込んでくるなんてことはない。それでも祈らずにはいられない。人間は、そういう生き物なのだ。
根拠のない期待を抱えながら、できることをやっていく。別に、どちらに振り切る必要もない。ほどほどに期待して、ほどほどに歩いていく。たまにサボるくらいは大丈夫。寄り道したって構わない。歩き続ければ、いずれどこかに辿り着く。それで充分だろう。