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恋人のスペック

池田大輝
·
公開:2026/9/2

恋人にスペックを要求する、という発想が、いまいち理解できない。誰かを好きになるのに、その人の職業や収入や学歴が重要だろうか? 結婚相手に選ぶなら、スペックを重視するのもわかるけれど、生活基盤を相手に全面的に依存するのは、それなりにリスクがあると思う。スペックで機械的に選んだ相手が、こちらには愛情を尽くしてくれると考えるのは、些か都合が良すぎるだろう。ハイスペックと付き合うことで自分の価値が上がる、という考え方もあるらしい。そうですか、としか思わない。いずれにせよ、その人はもはや恋人でもパートナーでもなく、土地みたいなものである。

恋人のスペックというものを、今まで考えたことがなかった。何人かと付き合ってきたけれど、共通するスペックはほとんどない。本を読むのが好きな人は多かった。もちろん、本好きの人をあえて選んだわけではない。好きになる人が、ある特定の傾向を持つことはある。少々差し支えるので、詳細は書かない。

これから誰かと付き合うとして、スペックを求めることはない。無職だろうと構わない。仕事をしている人が偉い、という価値観は、どちらかといえば印象が悪い。もちろん、仕事に誇りを持っているのなら、それは素敵なことだと思う。仕事をしている姿に惹かれることもある。それは、仕事をしているから素敵なのではなく、その人にとって大切なものがたまたま仕事という形をしているからに過ぎない。仮に仕事を辞めたとしても、好きでい続けることができるかどうかは、考えてみる価値があるだろう。人生は何が起こるかわからない。何があっても愛し続ける、という最もシンプルな誓いを、愚直に実行すれば良いだけだ。

好みのタイプがないわけではないけれど、かといって、好みのタイプの人を好きになるとは限らない。全然気にしていなかったのに、ある日突然、恋が始まるかもしれない。ほんの些細なきっかけで、人生は変わってしまうのだ。好きになるのに理由は要らない。恋とは、およそ人智を超えたものである。それをスペックで語ろうとするから、話がややこしくなるのだ。

@radish2951
恋愛ゲームをつくっています。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink