専門学校に通う夢を時々見る。眠っている間に見る夢のほうだ。なんの専門学校かはよくわからない。芸術系の何かだと思う。
夢の中で、専門学校に入った自分は、すごくドキドキしている。緊張している。ここでやっていけるのかと不安でいっぱいになっている。そして案の定、すぐ駄目になる。授業についていけない。というか、ひどくアウェイな気分になる。なぜ自分がここにいるのか、まわりのみんなは楽しそうなのに、自分だけがここにいてはいけないような気がしてくる。冷や汗が止まらなくなる。実力不足とか、その遥か手前の話だ。ここは自分の居場所じゃない、と悟ったところでいつも目が醒める。
何かの道を極めるためにその門を叩く、という選択を、今までの人生でほとんどしてこなかった。大学だって偏差値だけでほぼ機械的に決めたようなものだ。だから、同じくらい若い頃に専門学校、あるいは何かの道に進む決意をした人に対してコンプレックスめいたものを持っているのだと思う。きっと、一生消えることはない。
自分は今、恋愛ゲームをつくっている。自分で企画し、シナリオを書き、イラストを描き、音楽を依頼し、声優さんにセリフを読んでもらっている。誰かにやれと言われたわけでもなければ、何か具体的なメリットを求めているわけでもない。ただ、つくろうと決めたからつくり続けている。
もしかしたら、「専門学校コンプレックス」の反動なのかもしれない。一度くらいは、進むと決めた道を最後まで駆け抜けてみたい、と。こんなふうに書くと、ずいぶんと無理をしているように聞こえるかもしれないけれど、幸い、今のところは一度も辞めたいと思ったことはない。むしろ想像は広がるばかりだ。大変ではあるけれど、楽しい。
ただ、似たような気持ちを、自分がほぼ何も考えずに大学を決めた頃にはもうすでに持っていた人がいると思うと、正直、羨ましい。この先の人生でいくら足掻こうとも、絶対に追いつくことはできない。一生消えることのない疵(きず)だと思う。