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創作は声から始まる

池田大輝
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公開:2026/8/10

自分の創作に声が欠かせないと知ったのはつい最近のこと。学生時代は映画を撮りたくて、とはいえ、簡単に撮れるものではないから、一人で短い動画やアニメをつくっていた。映像こそが自分の持ち味だと思っていた。けれど、いまいち楽しくない。一人でつくった映像が、全然面白いと思えなかった。たぶん、声がなかったからだと思う。ただ風景を撮っているだけでは満足できなかった。映画館で映画を観るのが好きな理由は、巨大なスクリーンで映像を見られること以上に、音響が充実しているからだ。ゲームをつくり始めてから、声がいかに自分の中心にあるかを思い知った。声優さんに声をあてていただいたことで、キャラクターが命を持ち始めた。物語を書くことは、そこにある声に耳を傾けることだと思う。キャラクターの声を聞いて、文字に書き起こしているだけ。一度声を吹き込んでもらったキャラクターは、次からはすらすら書ける。まだ声のないキャラクターは、最初は書くのに苦労する。できれば最初から声があったほうが書きやすい。もちろん、そんな贅沢を言っているわけにもいかないから、なんとかして声なき声を聴いてみようと頑張っている。声が聴こえるとうれしくなる。そこから世界が広がっていく。音は空気中で減衰するから、どこまでも届くわけではない。いま、新しい物語を書いている。声はまだ聴こえない。でも、どこかにはあるはずなのだ。それを探す旅の途中に私たちはいる。

@radish2951
恋愛ゲームをつくっています。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink