応援されるのが下手

池田大輝
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公開:2026/4/13

ずっと誰かに支えてほしいと思っていた。のだけれど、いざ手を差し伸べられると、なんだか申し訳なくなるというか、萎縮してしまう。もちろん、ありがたいし、うれしい。できるだけ素直に感謝するように心がけてはいる。それでも、やっぱり、ぎこちなさは残る。気恥ずかしいというか、そんな感じ。

むしろ、支えるほうが性に合っていると気づいたのは最近。今までわからなかったのは、誰かを支えるだけの余裕がなかったから。思えば、高校時代はよくクラスメイトに勉強を教えていた。勉強は得意だったし、教えるのはもっと得意だった。時間はいくらでもあった。大人になると、人に会うのにもお金がかかる。お金を稼ぐためにバイトをして、バイトをするから時間がなくて、つまり余裕もなくなっていった。余裕がないと、手を差し伸べることができない。そんな状態がずっと続いていた。

最近になって、ほんの少しだけ余裕ができた。いや、余裕なんて全然ないのだけれど、昔に比べたら少しはましになった。すると、他人のことを考えられるようになった。こっちのほうが気持ちが落ち着く。応援されるよりも、応援するほうが得意なのだ、ということを思い出した。

『冴えない彼女の育てかた』というアニメ(原作はラノベ)がある。主人公の安芸倫也は、ある日ヒロインの加藤恵を見かけて、彼女をモデルにギャルゲーをつくり始める。倫理くん(安芸倫也のあだ名)は、プロデューサーとして恵たちを応援する。ここだけを見ると、私は倫理くんタイプである。一方で、恵は恵で倫理くんをさりげなく支える。つまり恵タイプともいえる。

どっちが近いのだろう? 恵はキャラソンで「頑張るより頑張る人を応援するほうが得意」と歌っている。その歌詞の意味が、少しだけわかるようになってきた。まあ、とはいえ、恵も結局ものすごく頑張る羽目になる。そんな恵を支えていたのは、ほかでもない倫理くんだった。

応援されるよりも、応援するほうが得意。ならば、応援されるのが下手な者同士、協力するのが良さそうだ。あなたを応援するためなら、私はどこまでも頑張れます。

@radish2951
恋愛ゲームをつくっています。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink