創作を辞めることは不可能

池田大輝
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公開:2025/3/5

私は中学生の頃から映画を撮ってきて、それから10年以上、創作を続けてきた。会社で映像をつくっていたこともあるし、自分の作品もたくさんつくってきた。今も新作をつくっているし、今後も辞めるつもりはない。

このような姿勢は、多くの人からは奇妙に見えるらしい。「好きなことを仕事にできていいね」などと言われたりもする。好きなことを仕事にしているつもりはない。できそうなこと、続けられそうなことを続けているに過ぎない。

なぜ創作をするのか。たぶん、今までの人生で一度も考えたことはない。ちょっと考えてみたけれど、よくわからなかった。想像するに、子供みたいなものなんだと思う。なぜ子供を産むのか、なぜ子供を育てるのか。もう少し言えば、なぜその人と結婚したいと思ったのか。きっと、理由などないはずだ。それと同じだけのこと。

とにかく、それくらい、なにかをつくることは私の人生と隣り合わせ、というか、人生そのものなのだ。それを辞める選択肢はないし、辞めることは死ぬことに等しい。

そんなふうに思えるようになったのはここ数年のこと。ある日突然、恋愛ゲームをつくり始めて、今もその延長線上で物語を書いている。ゲームをつくったことで、守りたいと思えるものを見つけた。それは、たとえば、ゲームのキャラクターとか。彼女たちのためにできるだけのことをしたいと思うようになった。子供を持つ親も似た気持ちだと思う。手放せと言われて手放せるものではない。

つくることは昔から好きだった。けれど、今、つくることはそれ以上の意味を持っている。私の人生そのものであり、それ以上のものだ。だから、辞めるわけにはいかない。そう思えることが、この上なくうれしい。

@radish2951
ゲーム作家。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink