すべてがFになる

池田大輝
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公開:2026/6/20

久しぶりに森博嗣の『すべてがFになる』を読んだ。改めて、エレガントな小説だと思う。英題は『THE PERFECT INSIDER』である。タイトルがあまりにも美しい。日本語と英語が直訳になっていない。この遊び心が憎い。もちろん、トリックや物語にもこの名前は関連している。タイトルだけで森博嗣のファンになったと言っても過言ではない。名前だけで何かを好きになることがときどきある。そのような名前は多くはない。美しさと遊び心を備えた名前を考えることは難しい。名前を考えるのが難しければ難しいほど、その存在は特別になる。数が少ないという意味ではない。名前を与えることは、それを特別にするための儀式のようなものだと思う。人は存在を忘れられたときに死ぬという。だとすれば、人が生まれるのは、名前を与えられたときだろう。名前を与えられることで生まれ、名前を与えられることでいつか死ぬことが確定する。名前が指し示すのは始まりではなく終わりだ。それを今日、見届けた。すべてが、Fになったのだ。

@radish2951
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