傷つけたくないと思うほど、傷つけてしまう

池田大輝
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公開:2025/3/2

誰かをあえて傷つけたいとは思わない。自分が傷つくよりも嫌だ。だから、多少自分を犠牲にしてでも、相手のことを考えて、できるだけ優しく、丁寧に、傷つけないように接する。壊れものに触れるみたいに、慎重に。そっと触れるから、表面に傷はつかない。でも、その分、全体の力のバランスを保たなければならない。力を入れなすぎるせいで、落っことしてしまう。結果、惨たらしく、バラバラになってしまう。

傷つけたくないと思うから、傷つけてしまう。傷つけたくないのなら、守らなければならない。誰かを守ることは簡単じゃない。覚悟が要る。自分が傷つくのは当然として、相手も傷つけてしまうかもしれない。それでも、バラバラになるよりましだ。中途半端な優しさは、その人を傷つけ、壊してしまう。優しいふりをするのは簡単だけれど、優しくなるのは簡単じゃない。優しさを受け入れることがいかに難しいかを想像することは、最低限の優しさといえる。

@radish2951
ゲーム作家。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink