しずかなインターネット

日記やエッセイにちょうどいい
文章書き散らしサービス

ログイン

対等な立場の人

池田大輝
·
公開:2026/8/9

社会というものが昔から理解できなかった。社会性が根本から欠落しているのだと思う。ある程度は見よう見まねで乗り切っているけれど、それはそういうゲームというか、従わなきゃいけないルールに従っているのに過ぎない。

立場とは、社会がなければそもそも定義できないものだ。火星に一人取り残された人の立場を論じても無意味だ。宇宙飛行士という立場は、地球にいるときにだけ意味を持つ。火星人に対して、自分は宇宙飛行士だと説明しても理解してもらえないだろう。地球にやってきた宇宙人を、我々は宇宙飛行士と認識しないのと同じ。

いま、スタバでこのエッセィを書いている。スタバの客同士は、対等な立場である。店員から見れば全員ただの客であり、その区別は不要である。むしろ、誰かを特別扱いすることは、好ましくないことだと思う。対等な立場とは、その二人を入れ替えても関係性が変わらないことだといえる。

いうまでもなく、人間は全員違う。社会というシステムは、その違いを抽象化して、大量の人間を扱いやすくするために人工的につくられたものだ。スタバの店員はスタバの店員という立場であり、スタバで働いている間は、個人的な事情を持ち込んではならない。親が危篤でも、家が火事でも、客には関係のないことだ。家に帰りたいのなら、仕事を休んで、つまり立場から降りて、個人として帰らなければならない。公務員が公用車を私的に使ってはいけないのと同じ。

システムとしての社会はそれなりに理解しているつもり。だけれど、それでも、人はどう見ても違う。それを無視して、立場に押し込めることが、少なくとも道徳的に善いことだとはあまり思えない。真に対等な立場とは、立場という概念が無意味な場所でのみ生じる。バーで出会って結婚した事例が比較的多いように見えるのは、アルコールがいかに反社会的な薬物であるかを端的に示す好例である。

@radish2951
恋愛ゲームをつくっています。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink