私は恋愛ゲームをつくっているけれど、今のところ、描いているのは高校生たちの恋であって、大人の恋と呼べるようなものではない。大人の恋とはなんだろうか? 大人じゃないので、わからない。
高いお酒を飲むこと? 綺麗な夜景を見ること? 二人で海外に旅行すること? 思うに、私の恋愛観は、中学生か高校生くらいで止まっている。高校生の恋愛物語を書きやすいのは、これが理由だと思う。友達や知り合いに聞いてみようにも、数年ぶりに会ってみたら、いつの間にか結婚しているパターンが多い。馴れ初めや攻略法を聞いてみても、適当にはぐらかされる。そうじゃない人は、そもそも恋愛に縁がない人が割と多い。
すでに結婚している知人を観察していると、なんとなく、パターンのようなものが見えてくる。最も多いのは、自然とそうなった、というパターン。多いというか、客観的にみて、ああ、この二人はきっとうまくやっていけるだろうな、と思う人は、だいたいそのパターンである。大学の頃からの友人だとか、いつの間にかそうなっていたとか。こちらからすると、はぐらかされているように感じるけれど、きっと本当にそうなんだろう。ある瞬間の人生の自然な選択肢として、結婚がたまたまそこにあっただけ。大人の恋という言葉すら、考えたこともなさそうな人ばかりである。
つまり、たぶん、大人の恋というものは、ドラマや婚活業界が捏造した幻想に過ぎないのだと思う。マナー講師が創作するマナーみたいなものだ。それで儲かる人たちがいる。本当の恋をしている人は、そんな幻想に惑わされることはない。恋とは、一般論で語れるようなものではなく、本人たちの、ただ二人の間にだけ存在する局所的な概念である。ドラマの恋も、他人の恋も、私の恋の役には立たない。ということを知っている人は、多少、大人であると言えるかも。
誰かを心から愛するということを、たぶん、私はまだ知らないのだと思う。恋愛ゲームをつくれるのは、私が恋愛上級者だからではなく、キャラクターのみんなが勝手に恋をしてくれるからである。恋バナを聞いたり、恋愛相談を受けたりするのはとても楽しい。誰かを愛するということは、もっと根本的に違うことなんだろうなと想像する。恋って本当に難しい。恋が簡単なものだったら、そもそも恋愛ゲームをつくろうとは思わなかっただろう。