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無事に帰国しました

池田大輝
·
公開:2026/7/18

飛行機が滅多に墜落しないのは、安全装置が何重にも用意されているからだ。機体は簡単に破損しないように、丈夫な素材がいくつもの層に重なっている。操縦士が操作をミスしても、管制がそれを検知できる。どこかに異常が生じたとしても、致命的な事故にならないように飛行機は設計されている。

裏を返せば、人間はそれくらいあっさり死ぬということだ。街中で背中からナイフで刺されたら、結構な確率で死ぬだろう。高速で走る車に轢かれても死ぬ。そこらへんを車がビュンビュン走っているのは、飛行機の安全策を考えると、あまりにも無防備に思える。

飛行機がこれほどまでに安全を徹底するのは、乗っている人間の命が大事だからだ。命は守るべきだという前提の上に、あらゆるシステムが設計されている。でも、人はいずれ死ぬことを誰もが知っているはずだ。死なないようにすることは、正確には死を先送りにすることである。老衰で死ぬのはオーケーで、事故死はアウトなのだろうか? 責任問題もあるだろうけれど、それを引き合いに出した時点で、守っているのは命ではなく立場である。本当に命を守りたいのなら、航空事業なんかやめて、不死身の薬を開発すべきでは?

人は誰もがやがて死ぬ。生まれた時点で、死ぬことはわかっている。物質的な観点で見れば、生きている時間よりも死んでいる時間のほうが遥かに長い。死んでいる状態が、自然なのだ。日本よりも治安が悪いであろうアメリカに1週間ほど滞在して、今日、飛行機で帰ってきた。無事に帰国できたわけだけれど、より正確にいえば、たまたま死ななかっただけである。いつ死んでも構わないように生きている。そのように生きるしかないのだ。

@radish2951
恋愛ゲームをつくっています。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink