世界に取り残されている

池田大輝
·
公開:2026/6/2

そんな気持ちになることがときどきある。地球はぐるぐる回っているのに、自分だけ同じ場所にいる。心も身体も思うように動かず、みんなが頭上を通り過ぎていく。世界にたったひとりきり、モノクロの海に沈んでいる。死にたいとか寂しいとか、そういうこととは少し違う。ただ同じ速度では走れないだけ。こんな夢を見ることがある。その日は中学の卒業式で、外はひどく荒れた天気で、風はやけに生暖かくて、支度するけれど全然終わらなくて、このままでは遅刻しそうで、結局、卒業式には行けない。もしかしたら、本当にそうなのかもしれない。本当に、取り残されているのかもしれない。それは、悲しいことじゃない。みんなと同じである必要はない。足並みを揃えなくても生きていくことはできる。ひとりぼっちで、生きて、死ぬ。それを悲しいと思うのは思い込みだ。みんなと一緒にいて楽しいのは、孤独を先送りできるからだ。孤独や寂しさから目を背けたくて、誰かの背中を追いかける。そういうことに、疲れてしまった。

夢を見ることができるのは、孤独だからだ。世界に取り残されたから、世界をつくり出すしかない。少しでも生きていたいから、夢を見続けるしかない。この夢がどうか終わりませんようにと、ただ願うことしかできない。生きているのか死んでいるのか、目覚めているのか眠っているのか、孤独なのか本当は違うのか。永遠に続く夢の中では、ほとんど同じことなのかもしれない。

@radish2951
恋愛ゲームをつくっています。毎日21時頃にエッセィを更新しています。恋愛ゲーム『さくらいろテトラプリズム』をよろしくお願いします。 daiki.pink