昔からあまり本を読むタイプではなかった、と言うと嘘になるのだろうけれど、決して本を読むのが好きではなかった。文章を読むのが得意ではなかったし、国語よりも数学や理科のほうが遥かに得意で好きだった。
本を読む人は、本当にたくさんの本を読んでいる。息をするように本を読む。とても羨ましい、というか、本を読むことでしか得られないある種の「豊かさ」に、幻想めいたものを抱いてしまっているのかもしれない(私が)。
もちろん、「豊かさ」は本からのみ得られるわけではない。自分は本よりも映画をたくさん観てきた。けれど、本を読むという体験を映画で代替できるとは思えない。本からしか得られない「何か」があると思っている。
自分は、およそ「文学的な」人間ではない。文学というものから、ずっと遠い場所にいた。だから、息をするように本を読む「文学的な」人が、全く違うタイプの人間に見える。ある種のコンプレックスだと思う。
ここ数年で、自分で恋愛ゲームのシナリオを書くようになった。シナリオの仕事もさせてもらった。国語はずっと苦手だったから、自分がシナリオを書くなんて夢にも思っていなかった。でも、書いてみたら案外、書けるものである。
自分の書いているものが果たして「文学」に値するのか、よくわからない。少なくとも書いている間はそんなことは気にしない。けれど、自分の書いたものが誰かに刺さるのなら、こんなにうれしいことはないだろう。
ちなみに、この文章のタイトル「文学ガール」は、結城浩先生の著書「数学ガール」が元ネタである。特に深い意味はない。ただ、本を読む人はなんかいいな、と思うだけである。